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自粛生活で孤立する子育てママ。「私だって外出したいわけではない」

東京都では、約二週間のステイホーム週間がスタートした。
不要不急の外出を自粛するように強く要請。
新型コロナウイルス感染拡大を最小限に抑えることが目的だ。

誰もが制限のある日々を送っている中で、一部の人たちの行動が問題視されている。
ジョギングする人、観光地へ足を運ぶ人、そして公園やスーパーなどへ子どもを連れていく人だ。
ネットでは「非常識!」「我慢しろ!」などの声が飛び交う。
しかしこの該当者である子育て中の母親は、「ちょっと待って欲しい」と声を上げているようだ。
彼女たちは一体どのようなことで不便さを感じているのだろうか。
筆者の元にメールをくれた主婦の直美さんから話を聞くことができた。

本当は自宅にいたい。でも・・・

直美さんは2歳の子どもを育てる兼業主婦。
普段は在宅にて仕事をしており、その間は保育園へ子どもを預けている。
緊急事態宣言が発令されたことを機に、自宅保育へ切り替えた。

「保育園からは、”自宅で保育できる状態なら自宅で見てください”といわれました。このような状況ですし仕方がないと思います。」
「でも仕事をしながら育児は無理だとすぐに思いました。吉田さんと同じライターの仕事をしていますので、子どもに話しかけられてしまうと仕事に集中できなくて。」
自宅保育を決めたと同時に、仕事先に連絡を入れた。
「政府からのフリーランスへの補償は受けるつもりです。」

「最初のうちは自宅で遊ばせていました。でも、子どももストレスがたまるみたいで”公園で遊びたい!”って癇癪を起すようになったんです。普段の様子と違うように見えました。このままじゃマズイと思って、車で遊具のある公園まで行きました。」
ソーシャルディスタンスを意識し、県内でも大きい公園を選び、子どもを遊ばせた。
「公園には私のような親子が沢山いました。同じように頑張っているママが多いことにホッとしました。」

約1週間ほどすると、公園内の遊具使用自粛の流れが出始めた。
ネット上では、”公園に行くのは不要不急の外出ではない”といった声が上がった。
「確かに遊具は濃厚接触ですね。理解できます。でも、ここも制限されるのか・・・と思ったら、疲れがどっとでました。」
「遊具には長居していませんし、遊び終わったらアルコール除菌もしています。これじゃダメなんですね。」
直美さんが利用していた公園は遊具だけでなく、駐車場も使用禁止となった。
「散歩も無理なんですね。自宅周辺は交通量も多いので散歩は厳しい、当分外出はできないでしょう。」

「私だって自宅に居ることができるならいる。でも子どもを育てているとそうもいかない。特に2歳児となると、自宅でyoutube漬け。それも飽きる。もちろんおもちゃでも遊んでいます。」
「もう少し言葉が理解できればいいんですかね、ため息しか出ない。皆、広いお庭があるんですかね。それともずっと自宅で頑張ってるのかな。」

リモートワークを邪魔できない。窮屈さを感じる自宅

「私が自宅で子どもを見ることができない理由の一つに、主人のリモートワークがあります。」
直美さんのご主人は3月に入ってすぐリモートワークとなった。
夫婦のみで在宅にいる分には問題がなかったが、子どもが登園自粛をするようになってから言い争いが増えたという。

「主人の会社は、就業時間中ずっとカメラをオンにしているんです。そうすると子どもが邪魔にはいるというか・・・。笑って許してくれる人もいるそうですが、中にはよく思わない人もいるとかで、主人はイライラしています。」
「主人にカメラオンの時間を交渉できないか聞いてみましたが、部長に”一人だけ例外は認められない”といわれたそうです。」
「部屋が沢山あればいいのですが、マンションですし、決して広くはありません。子どもが騒ぐと主人の仕事に支障が出ます。」
「そうなると私が子どもを連れて外出するしかないですよね。口をふさいで黙らせるわけにもいきません。今すぐにできる対策はこれしかありません。」

「子どもを保育園に預けることも考えましたが、保育士さんに”在宅勤務なら自粛してもらえると助かります”と言われてしまいました。こう言われてしまうと無理ですね。」
「新型コロナウイルスも怖いですが、精神的におかしくなるほうが先に来そうです。虐待も他人ごとではないと思う時もあります。」

誰にでも事情がある。自分なりのステイホームを

今回取材を受けてくれた直美さんの自粛生活に対して、賛否両論あると思う。
直美さんに限らず、仕事などで外出しなくてはいけない事情がある人はいる。
事情の重要度は様々だし、個々の考えなどがあるので難しい所だが、皆一生懸命取り組んでいることには変わりないのではないだろうか。
「あいつ外出している!」と、すぐに叩くのではなく、一旦クッションを置いて相手のことを考えてあげて欲しい。

5月6日までのステイホーム週間。
他人に目を向ける前に、まずは自分自身の行動から見つめていこう。
一人一人の自粛生活が、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐことへと繋がるはずだ。

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