フェス

6月30日の日記(前編)

6月30日、cakes note フェスの2日目に行った。

とはいえ、これはレポというよりも日記だ。私の視点で書くので、イベントの詳細を知りたい方にはおすすめできない。

それでもよろしければ是非。

◇◇◇

夫と一緒に、朝8時台に家を出る。

もっと早くに出る予定だったが、睡眠不足の夫をもう少し寝かせるため、出る時間を遅くした。最所あさみさんとチャーリーさんは見られなさそうだ。

私たちは都内でもひっそりしたところに住んでいて(最寄り駅まで歩くと45分かかる)、渋谷などのにぎやかな場所に行くことは少ない。夫はなぜか、大井町行きに乗ろうとしていた。「大井町も渋谷も都心だから」と言う。「急行・都心行き」にでも乗れ。

noteを始めて数日の夫は、今日のイベントについてまるでわかっていない。そもそもインターネットに疎いので、今日の登壇者を誰一人知らない。美術と山とオカルトにしか興味がないのだ。そんな彼に、電車の中で今日の登壇者についてレクチャーする。

やっと渋谷に着く。「ブンカムラなら任せて」という夫についていく。会場のロフト9はブンカムラの近くだからだ。

途中、人気のない急な坂道を登る。「本当にこの道なの?」と聞くと、「この道はブンカムラを知ってる人しか通らないな」と得意気にしていたが、途中、「あれ?」と言いながら立ち止まってグーグルマップを見ていた。

とにかく暑い。顔から汗が吹き出る。ハンカチで拭きながら、ようやくロフト9にたどり着いた。


受付で名前を言うと、スタッフの若い女性に「いつもnote読んでます!」と言われる。

……!

心の準備(?)ができていなかったため動揺して、なんと答えたか覚えていない。「ありがとうございます」とちゃんと言えていただろうか。脳が鈍いので、数分後にやっと「う、嬉しい……」と感じた。

夫婦そろって、受付でもらった紙製のリストバンドの付け方がわからず(留める部分がシールになっているのに気づかなかった)、夫は受付の人につけてもらっていた。

なんだか色々と申し訳ない。

それにしても、受付と物販が外(テラス)だったので、長時間いるスタッフの方は大変だったろうな、と思う。

◇◇◇

会場に入ると、サクちゃんさんと林伸次さんのトークが始まった。

cakesの人気連載「ワイングラスのむこう側」でおなじみの林さんがビールを飲んでいたので、「ビールジョッキのむこう側……」と思う。

印象的だったのは、サクちゃんさんの娘さんがペットのイラストを描いておこづかいを稼いだ話。

自分の技能が誰かに喜ばれ、その対価としてお金を得る。それは「時給制」とは別の感覚だ。もちろん時給制が悪いわけではないが、若いうちにそういう体験をできたのは素晴らしいことだと思う。

あと、林さんが有料noteで稼いでいる金額に驚き、希望を感じた。

クオリティ、人気、売り上げ。すべてにおいて林さんに追いつけるわけはないが、書き続ければ数年後、今よりは近づけるはずだ。

それにしても、お二人とも頭の回転が早く、するすると言葉が出てくる。「えーっと」「あのー」みたいに言いよどむことがない。

あぁ、言葉がスラスラ出てくる人はきっと、「話すように書く」ことができるんだろうなぁ。

話すのも書くのも遅い私としては、とても羨ましい。

まぁ、羨んだところで近づけるわけでもない。あらためて、継続して量を書こうと思った。

◇◇◇

それにしても、さすがはcakes note フェス。

スイスイさん、最所あさみさん、soarの工藤みずほさん、やる気あり美の太田尚樹さん、noteの深津さん、ピースオブケイクの加藤さんなど、ネットで一方的に知っている方を次々に見かけた。

わぁ……。

本物だ、と思う。

我ながらミーハーだ。


夫とテラスの物販ブースを物色していると、若い女性に「吉玉さんですか?」と声をかけていただいた。

Twitterで交流のあるマスモトアヤノさんだった。ネットで知り合った人とリアルで会うのは初めてだ。応援の言葉をいただき、とても嬉しい。

大学生というのは知っていたが、いざ本物を前にすると、はじける若さに圧倒される。だけど、私よりずっと「なってる」。いつか私にも、「最近の若者はなっとらん」とか、思う日が来るのだろうか?

あ、そうだ、夫が作ってくれた名刺を渡そう!

と、なんだか唐突なタイミングで差し出してしまった。

たぶん、不自然だったと思う。私は平均的な大人よりもやや振る舞いが不自然な気がするが、自分ではどうしようもない。

あとになって思えば、最初に声をかけてくださったスタッフの方(お名前わからず……)にも名刺を渡せばよかった。

人とコミュニケーションをとると、いつもあとから何かしら後悔する。


その後、たやおさんユリ(書籍編集者)さんに「吉玉さんですか?」と声をかけていただいた。恥をしのんで「こういう服装です!」と書いておいて良かった。

たやおさんは明るく表情豊かだった。東北から来たそうだ。すごいなぁ。

ユリさんは、文章の感じからもっと年齢が高い(私に近い)印象だったので、意外とお若くてぎょっとした。ユリさんには「吉玉さんはアイコン通りでびっくりしました」と言っていただけて、アイコンを意識して星のピアスを買った甲斐があった。


その後、何度かリプライのやり取りをしているうすいよしきさんを見かけた。以前、Twitterで顔写真を見たことがあったのだ。

しかし、「あれ? もしかして佐伯ポインティさんかも……?」と思い始めてしまい、声をかけられない。

ポインティさんは吉玉を知らないだろう。私は年齢のわりに自意識過剰なので、人間違いなんてしたら一週間は恥ずかしくて立ち直れない。

しかし、勇気を出して声をかけてみると、うすいさんだった。赤っ恥をかかずに済んだ。

だけど、名乗ったときに誰かわからないようだった。名刺を渡すと「あー! 吉玉さんですね! いつも読んでます!」と言ってもらえた。私の声が小さくて、名前が聞き取れなかったのかもしれない。

◇◇◇

シャンディーガフを飲みながら、樋口直哉さんプロデュースの「チリコンカーン」と、有賀薫さんの「塩豚と大根、麦茶のポトフ」を食べる。

美味しい!

夫はポトフを食べながら「余計なものがない。素材の甘みだね」とわかった風なことを言う。いや、私も同じことを思ったのだが、口に出すとなんだか「わかった風」になる。

樋口直哉さん、有賀薫さん、馬田草織さんのトークを聞く。

「料理をしたことがない人でも作れるレシピ」の話に共感する。

たしかに、レシピって、ある程度の知識がある前提で書かれているものもある。

私も若い頃、「昆布でダシをとり……」とか当然のように書いてあるレシピを見て「どのように!?」と思っていた。

◇◇◇

馬鹿みたいに長くなってしまったので、後編に続きます。


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