【小説】『恩送り Pay forward』(第4話)
【恩送り4】
本は、著者の思いやメッセージ、思考がいっぱい詰まっている。
専門書なら著者が、何年も掛けて研究した成果が一冊にまとめられている。
本は、知識の宝庫だ。色々な情報が本から発しられている。
だから、私達は本から様々なヒントやアイデアを受け取れる。
それは、あたかも著者と対話をしているようなものだ。
本からの一文が、人生を変えてくれることもある。
実は、私達は本のタイトルや目次、本文を見て、今の自分に必要なのかを瞬時にチェックし、判断している。
私達は、無意識に今自分が何を必要としているのかを知っている。
潜在意識が呼応し、今の自分に必要な本を引き寄せている。
パッと目が行く、呼ばれたようにその本の前に行く、こんな体験を私は何度もした。
だから、私達はいつもなりたい自分をイメージし、その姿が実現した感覚を創造し、疑似体験をし、ワクワクしてみることが大切だと私は思う。
本は、著者の叡智がいっぱい詰まっている。だから、本を読む事は著者から恩を受けたことになる。
自分が上手くいったことを他の人に教えると、それは恩送りになる。
人から人へと優しさや思いやりのバトンを繋いでいく。
喜びを自分だけに留めておくのではなく、他の人にもお裾分けする。
恩送りをして喜んでくれる姿を見ると、こちらまで無性に嬉しくなる。
思わず笑顔になる。
もし困った時に助けてもらったら、他の人が困っている時に自分も手助けをしよう。
私は、そう思っている。
恩送りには、送ってくれた人の優しさや思いがいっぱい入っているのだから。
その気持ちに素直に感謝し、自分も他の人に恩送りをする。
なにか困ったことを体験した人は、困った人の気持ちが分かる。
そして、困ったことを体験して今がある人は、困ったことを乗り越えたパワーを持っている。
私は、阪神淡路大震災を体験した。昨日までの当たり前の生活が、一瞬にして当たり前でなくなった。
電気がつくこと、水道が出ること、ガスがつくこと、スーパーに行けばものが買えること、バスや電車に乗って行きたいところに行くこと、そんな当たり前だと思っていたことがもう当たり前ではなくなった。
その時に私達は、ご近所さん達や地域で助け合ったり、遠方の親戚や友達、知人、ボランティアの人達に助けてもらった。
本当に困ると何をしたら良いのかと途方に暮れる。ただ呆然とそこに立ち尽くしてしまう。
そんな時に誰かに助けてもらうとすごく嬉しい。
あの時、助けてもらった事は一生忘れない。
助けてもらう人の気持ちがわかる。
助けてもらうことに遠慮はいらない。
素直に援助を受け入れたらいい。
そして、自助努力で立ち上がるきっかけにすればいい。
私は、亡くなったおじいちゃんから教えてもらったことがある。
つづく。
人と組織の専門家
問題解決プロデューサー、心理意識分析家、著者
起業プロデューサー、ブランドプロデューサー
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