【ショートショート】腐敗と成長

「じゃあ何。それが本当に不発弾だとしてどうしたいの？」

「撤去すべきだと思います」

「期間は？その間、本来建設中のモノはどうなんの？」

「最低１ヶ月は必要だと思います…もちろんその場合は開発を止めざるを得ません」

「仮に撤去したとして…もし不具合が出たらお前責任取れんの？」

「やってみないことには…」

「いい？そもそもそこに不発弾があるのは俺らの責任じゃないの。埋めた先人がいる訳でしょ」

「もし爆発したら全てに影響を及ぼしかねない所なんです」

「でも実際今日まで爆発せずに来れてるわけでしょ。下手に触るよりそっとして置く方が得策だと思わない？」

「でも…」

「てか今回触る所と関係無い所で見つけたんでしょ？ぶっちゃけ爆発してから対応すりゃいいじゃん」

「…分かりました」

「分かるよ。完璧求めることは悪いことじゃないのよ。でも完璧求めすぎて納期遅れてたら元も子もないでしょ」

新米のシステムエンジニアは自席に戻りため息を噛み殺した。
既存システムを改修する形で開発中の新システムで偶然見つけた既存バグの処遇を上司に相談した。
真面目で直向きな新米システムエンジニアはこうして一人前へと腐っ…
成長していく。