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【ショートショート】終わり

仕事でヘマをやらかした2人は懲罰房に閉じ込められた。
「兄貴、親分カンカンでしたね。俺ら一体どうなるんすか?」
「知らねーよ。第一逃げ遅れたのはヤス、お前の食い意地が原因なんだからな」
施錠の外れる音がした。2人に緊張が走る。
ひょいとニヤケた顔の見張りが顔を出した。
「親分が1度だけチャンスをくれるそうだ。コレが解けたら出してやるとさ」封筒が手渡され、再び施錠する音が響いた。
「兄貴、なんすかそれ?」
中には1枚の紙切れが入っており『1つだけ足して終わりを継続に変えろ』とだけ書かれてあった。
「はあ?何だこれ」絶望で天を仰ぐ兄貴。
ぐーっと腹の虫が鳴り、兄貴が睨むとへへへとヤスは笑った。


数時間後、定食屋で向かい合う二人。
「兄貴。何で俺ら出られたんすか?」
ヤスは茶碗山盛りのご飯をかき込む。
「ヤス、今何杯目だ?」
「へ?3杯目っす」
「もう"終わり"か?」
「まさか。おかわりです」へへへとヤスは笑う。
「お前の…」食い意地のおかけだと言いかけて飲み込んだ。

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