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色を科学する その② 1931年に色と数学が結びついた - CIE RGB表色系

 CIE(国際照明委員会)が1931年に勧告した表色系で、同時にXYZ表色系も勧告され、こちらの方が実用的なので、生まれた瞬間に使われなくなった悲劇?の表色系。

 RGB表色系が基となったXYZ表色系により、色を数値(実数)であらわすことが可能となり、様々な四則演算も可能となって、色が科学できるようになった、という意味では、非常に重要な表色系です。

 CIE RGB表色系&XYZ表色系(1931年)→ CIELAB&CIELUV(1976年)→ CIECAM97s(1997年)→ CIECAM02(2002年)と続いていくわけですから。

RGB表色系の成り立ち 

 グラスマンが唱えた下記「3色性の法則

 任意の色光は、3つの原色を様々な比率で混ぜ合わせることで再現できる

 → 任意の色光は、等色した時の3つの原色の量にて記述できる

 と読み替えることできるので、原色(この場合原刺激と呼ぶ)として、R(700nmの単⾊光)・G(546.1nmの単⾊光)・B(435.8nmの単⾊光)が選ばれ、これらRGBの量で任意の色を数値化しようと。RGBが選ばれたのは、この組み合わせが最も多くの色を再現できることが経験的にわかっていたからです。

任意の色C ≡ ○R + △G + □B → (○,△,□)がその色の数値

 そのために、380nm〜780nmの単⾊光をRGBでマッチング(⾊合わせ) しました。

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 このとき,380nm〜780nmの単⾊光はすべて同じエネルギー(単位エ
ネルギー)
になってます。


等色関数=スペクトル三刺激値

 その結果が下のグラフです。r(λ),g(λ),b(λ)*は等⾊関数(Color Matching Functions)と呼びます.等⾊関数は⼈間の⽬の感度を「間接的」に表す量です。

 *本来は、rgbの上に ̄(バー)がついていて、アール・バー・ラムダ、ジー・バー・ラムダ、ビー・バー・ラムダと読みます。

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 上のグラフで600nmの単⾊光は、Rが0.3、Gが0.05、Bは不要で同じ⾊に⾒えることを表しています。この値を三刺激値(Tristimulus Value)と呼び、600nmの単⾊光の三刺激値RGBは⼤体R=0.3,G=0.05,B=0といえます。また、この場合、単⾊光(スペクトル光)に対する三刺激値なので「スペクトル三刺激値」と呼びます。これあまり知られてないですが、意外と重要な概念です。

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 当然ですが、原刺激と同じ700nm、546.1nm、435.8nmにおいては、それぞれR、G、Bだけでマッチング(残りの2つは0)されています。700nmの光はヒトの目にはすごく暗いのでRも非常に小さい(0.0041)ですが。

色は積分で表現できる 

 では、単色光ではなく、全波長域にエネルギーを持つような色の場合(そういう場合が普通ですが)どうするか?この時役立つのがグラスマンの法則の加法則「A≡BかつC≡D ならば (A+C)≡(B+D) である」です。

  全波長域にエネルギーを持つ色はすべての単色光の集まりと考えられ、加法則があるので、単色光の三刺激値=等色関数を足し合わせればいいことになります(もちろん、各波長のエネルギー量は考慮します、等色関数は単位エネルギーに対しての三刺激値なので)。加法則があるから足していいのです。グラスマン万歳!

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 P(λ)という任意の色(放射)に対する三刺激値は、「各波長のエネルギーとその波長での等色関数を掛けて足し合わせる」ことになるので、数式化すると下記になります。

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※GとBも同様

 現実的には、各波長と言っても、5nmか10nmくらいの波長間隔で計算することになるので、その「はしょった分」である波長間隔Δλを掛けなければなりません。下図の長方形の底辺の長さがΔλです。つまり、三刺激値RはP(λ)×r(λ)という関数の面積を求めることになります!

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 波⻑間隔を限りなく⼩さくしていくと,積分で表すことができ
て・・・

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 めでたく、色を積分(インテグラル)で表すことができました!この式(実際にはXYZ表色系の式でしたが)を大学1年生の4月に目撃したのでした。

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