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B3リーグ引退に寄せて

昨日リリースがありました通り、この度「さいたまブロンコス」を退団することになりました。

短い期間でしたが、今の想いや、今後のこと、またプロリーグの現場で実際に見て感じたことを自分なりに書き残しておきたいと思います。


引退できることの幸せ

僕のB3リーグ1年目であった昨年は、新型コロナによりシーズン終盤での中止という形で終了しました。

各チーム経営の改革を迫られるなか、今期は「実力のある選手がどのチームとも契約できない」という状況がありました。

なかには自由交渉リストに載ったままやむを得ず実質上の引退となっていった選手もおられたように感じます。

コロナでなくとも、スポーツ選手には常に怪我のリスクがついてまわります。今期はチーム自体がリーグから撤退して所属先がなくなった選手もいました。

今シーズンの始まり頃、「自分の引き際を自分で決めれること」のありがたさや、その大切さ、その価値を感じる機会が何度もありました。


「引退にしてください」

シーズンが終了した時点で、自分の意思としては引退は決めていました。自分で決めていた目標が達成できなかったからです。

チームからも来期のオファーはないだろうと考えてはいましたが、こちらから事前に引退を伝えるのはなんだか契約満了通告から逃げるみたいで嫌だったので、しっかり引導を受け取ろうと思って最後の面談に臨みました。

面談で満了通知をもらったあと「自由交渉リストへの掲示は”引退”にしてください」と伝えました。最後まで真摯に対応してくださったチーム経営陣の皆さんに感謝しています。


ブロンコス以外にはない

昨日、10年以上のプロキャリアがある1人の先輩からこんな言葉をもらいました。

「もったいない。まだまだやれるし、タイミングや運や売り込み方によってはB2のチームとかだって全然ありえるぞ。”引退”の表記はしない方が良い。」

励ましの言葉だったとしても、とても嬉しい言葉でした。

でも、今のぼくには他にもっと頑張りたいことがあって、そんな状態で「ラッキーでどこかから声がかかったらいいなぁ」みたいな気持ちを1ミリも残していたくはありませんでした。

真剣にチームを探して自由交渉リストに名前を載せている選手たちに失礼だとも思いました。

また、単純にブロンコス以外でプレーしたいとも思えませんでした。会社員を辞めたときもそうでしたが、ぼくはあまり同じ業界で組織を転々とするのが好きではないようです。

帰属意識なんて言うと今の時代にあわないし、こういう柔軟性のなさが自分の可能性をせばめている気もしますが、自分らしいと思える選択をしたいなと思いました。


悔しさから生まれるもの

少し話が変わりますが、ブロンコスに入った頃、アマチュア契約だと知っている人から「まぁプロじゃないからね」とか、「エセプロだね」と言われることが何度もありました。少しいいプレーをすると「プロっぽい!」と嫌味たっぷりに揶揄されることもたびたびありました。

(ちなみにぼくは自分で「プロ選手」と名乗ったことは1度もありません。いつも「プロリーグでプレーしてる」とか、回りくどくてもそういう言い方をしていました。それがぼくなりのプロ選手への敬意でした。)

また、前職の同僚などからはたまに連絡がきて近況を聞かれました。大半がぼくのことを心配してくれたりただの雑談だったりと嬉しい連絡でしたが、なかには「会社から飛び出したやつが自分より成功してないか確認するための連絡」もありました。

そんなときは大抵、ぼくがあまり試合に出れていないことや、会社もまだまだ発展途上なことを伝えると電話の向こうで安心するように相手の声のトーンが上がるのがハッキリと分かりました。

昔ぼくも逆の立場で悪気なく似たようなことをした覚えがあるので、相手に対しては悪感情はまったくないのですが、とは言えやはり悔しい気持ちは湧いてくるものです。

プロの選手たちは日々もっといろんな悪意や不親切にさらされているので、「アマチュア選手の辛かった自慢」がしたいわけではありません。

ぼくはぼくで2年間、そういった悔しさが少しずつ次の挑戦への活力になっていくのを感じていました。


他にもっと頑張りたいこと

今後は改めて自身の事業成長に注力していきたいと思います。

現在はパーソナルジム事業と、3人制バスケチーム運営事業です。

前者ではまずは【前職の企業を超える実績を出すこと】が目標です。
詳しくは割愛しますが、まずは

・営業利益率
・給与水準
・内部留保の度合い
・やりがい

あたりをKPIにしていきたいなと考えています。フィットネス以外の事業にも必要があれば柔軟にチャレンジしていきたいと思います。

後者では【日本一】を目指します。
シンプルな目標ですが、プロかアマかなんて評価をぶっちぎるような結果を出したいと思うようになりました。もちろん運営者としても一選手としてもプロ意識は高く持っていきます。


成長のために必要なもう1つ

この2年間、初めてのプロリーグ活動と初めての会社経営に同時に取り組んできました。

当然ながらどちらもそう簡単にはいかず、どんどんチームに順応していくチームメイトたちや、同時期に開業してどんどん拡大していく他社を見て、自分は何をしているんだろうと毎晩考えていました。

思えばこれまでぼくは目の前のことを必死に頑張るのは比較的得意だったように思います。

それがこの2年間、必死にやっても思うように成長できない日々を過ごし、「成長って何なんだろう」と考えつづけ、気づいたことが1つありました。

それは、成長のためには「自分を磨くこと」以上に「自分の何を磨くかを見極めること」が大切だということでした。

「選択と集中」や「課題選定の質を高める」などの考え方はよく言われますし、別に目新しい発見ではありませんでした。

でも、頭で知っているということと、自分の人生を使って肌で感じて理解するということには大きな違いがありました。

これを理解した頃から、ぼくは今はまず選手や経営者としての能力以前に「人としての正しさを磨くこと」に集中しようと決めました。

それは、言い訳をしないことや、誰かのせいにしないこと、然るべき準備をすること、努力すること、感謝を忘れないこと、正直でいること、そういった普通のことでしたが、それらを改めて意識することで今の自分を認めることができ、諦めない姿勢や”Never too late”という自身の信条を貫くことができました。


Bリーグ引退に寄せて

会社員をやめて新しい世界に飛び込んでみて、楽しいことがたくさんある反面、うまくいかずに苦しくて、会社員のころの地位や収入を思い出してしまうこともよくありました。

そのたびに「今は新しい力を手に入れるためのリセット期間」と言い聞かせてきました。今もたまにあります。幽遊白書の飛影が邪眼手術を受けたときみたいな気持ちです。いったんD級妖怪。(マニアックすぎるか)

今シーズン中盤頃から「何を磨くか見極める」という感覚を得られたことは今後の飛躍への大きなキッカケになったと感じています。まだまだ使いこなせていませんが、邪眼を手に入れた気分です。

高いレベルのバスケットに挑戦できたこと、そこに追い付くために必死にやれたことは本当に楽しかったし、同時に経営をすることの難しさや自分の能力の現在地を知れたことはとても有意義なことでした。さらに次のステップにつながる成長も得られましたし、最高の2年間でした。

ブロンコスで関わってくださった皆さま、会社の皆、3人制チームの皆に感謝しています。2年間、本当にありがとうございました。

今後も挑戦を続けていくので、これからも宜しくお願いします。


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