リスクとベネフィットの天秤にかけて

日経産業新聞のコラムから。

本来はあらゆるものにリスクは付き物で、そのリスクとベネフィット(便益、記事の中では利便性)を比較してベネフィットが大きければリスクをとって選択するというのが正しい選択の姿勢である。

しかしながら、日本人は比較的リスクを正しく取るのが苦手な傾向にあるとも言われている。
(そもそも、リスクはあってはならないという概念を元に議論がなされることもある。)
これは、理想ではあるが現実にはありえない状況である。

労働安全の世界でも、「労働災害をゼロにする」という目標から「リスクをゼロにする」という目標へと変遷し、今は、「受け入れられないリスクはゼロにする」へと変わった。
「リスクゼロ」はありえないからである。

この分野でリスクは、「重大性×可能性(頻度)」で大きさが表される。
「10年に一度、人が死ぬ可能性がある」は受け入れられないリスクとされるはずで、対策が急務である。
一方で「10年に一度、人が転倒して手首を捻挫する」は受け入れられると考えられることもあり得る。
「どこまで受け入れられるの?」という基準は組織が決める必要がある。

より身近な例では、レントゲンやCTスキャンは放射線の被曝をするので、リスクがある。
しかしながらその場で骨や内臓の異常が発見されて、速やかな処置が可能になる便益が大きい。だからこそ、リスクを取って放射線を照射する選択が正しいと言える。
ガンの放射線治療も同様に「被曝によってガンになる可能性が上がるリスク」よりも、「既にあるガンを治療する便益が大きい」ので、リスクを取ることが正しい選択になり得る。

以上のように身近なところでも「リスクをとって正しい選択をする」事例はたくさんある。
しかし、その選択を正しいものにする為には「正しいリスクの情報」が必要である。
よって情報の収集や正しい情報の提供を受けることが重要になる。

意思決定をする時には、そのことを忘れないようにしたい。

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リスクと利便性の天秤:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44832830V10C19A5XY0000/

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