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ビジネス(技術者)英語について

長い間化学技術者として仕事をしてきました。海外との関係もそれなりにあり、英語は業務遂行を進めるうえで、大事な必要条件の一つでした。

私が行って来たのはビジネス英語というより、技術者英語とでも言えるものです。多くの日本の技術者を見て来て、「彼らももう少し英語ができれば良いのに!」と思う事が多かったので、それを少し記してみます。

日本や欧米の企業でも仕事をさせていただきました。化学技術者として、社会の要請に応えるべく環境技術(脱硫、脱硝技術)、エネルギー技術(石炭利用、代替エネルギー、炭素循環)などを担当して来ました。

最初に入社したのは、我が国が資源やエネルギー面で難しい局面にあった厳しい時代でした。就職も厳しかったのを覚えています。

その後ハイテックに憧れ米国半導体製造装置メーカー(日本法人)へと転職し、シリコンバレー本社でも数年間働くという機会をいただきました。当時の日本では、化学技術者が半導体分野で働くという事例はあまりなかったと記憶しています。当時の化学工学便覧にも半導体の話は記載がありませんでした。

マクロスケールの化学装置産業からナノスケールの半導体への転職です。入社してみると、「トンいくら」という思考枠から、「ミクロンいくら」という、まったく世界観の違う業界への転職でしたので、相当困惑しました。周りの皆さんも、変な人がマネージャーとしてやって来たなと思ったに違いありません。

まあ、何とか頑張ってやっていくしかありませんでした。インターネットや携帯、ゲームなどが普及しはじめた頃でしたので、半導体は産業の米として、急速に需要が拡大する時期でした。装置の納期が数か月遅れるなど当たり前の状態でした。

当時の化学装置産業では、技術やノウハウなど米国の石油メジャーに負うところが多かったと記憶しています。米国からの技術は、言うなれば確立したものであり、それがエンジニアリング・マニュアルとして活用されていました。それをベースに、我が国も独自のものを獲得しようと頑張っていた時代です。

ところが半導体の世界は日進月歩、確立技術というものがなく、常に改善という状態でした。CIP(Continuous Improvement Program)というのがあっていつも臨戦状態でした。各社しのぎを削っていたので、それが当たり前でした。

当時は、世界でも日本の半導体(チップ)メーカーは強かったので、日本の顧客に多数の製造装置が納入されていました。CIPのこともあって、リピートで注文が入っても、前と同じ仕様の装置が納入されたわけではありません。少し改善された先進的な装置が納入されます。それが現場のサービスエンジニアには困った状況を与えます。

こうした米国のハイテック企業であり日本市場も大事な顧客ということもあって、米国との情報交換は日本企業で働いていた頃とは雲泥の差でした。彼らが日本語を喋ることは期待できなかったので、共通言語は英語となります。(以下続く)


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