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【2021年 最新版】 協会の歴史と変遷|Withコロナ時代の《協会6.0》へ

“協会”は、日本独特のスタイルです。世界には、日本の“協会”はありません。

協会は英語で“association”と表します。でも、アメリカには日本の“協会”はありません。むしろ財団(foundation)のほうが、“協会”の本質に近い団体です。

ですがアメリカの財団では、資格を取ったり、級を上げたり、自分の知識やスキルをレベルアップできる、日本の“協会”のスタイルとは違います。アメリカの財団は、たくさんのお金を集めて、運用して、恵まれない人たちを支援します。

ここでは、「協会」という団体の意味を歴史から確認していきましょう。

協会とは(協会の定義)

協会とは、ある目的のためにみんなで協力しあって、達成させる団体

これは僕が協会をサポートしていくなかで、たぶんこれがちょうど言い当てている言葉だと思ったので、こう定義しています。(辞書やヴィキペディアなどでは、別の定義をしていると思います。ご興味あれば、調べてみてください)

協会は会社とは違う

会社と協会は組織をつくっていくという点では同じですが、「会社がお客さんを集める」「協会が会員さんを集める」という段階になると、まったく別のことをします。

お客さん集めをするのと会員コミュニティをつくるのは、働きかけが違います。

よく「協会は立ち上がったけれども、今ひとつ盛り上がりに欠いている。どうしたらいいですか?」という質問を受けます。

「その場合には、概ね、会社っぽい協会をつくり、会社っぽい運営をしているからです」とお答えしています。

社会的な活動をするのが協会

「〇〇協会」と名乗らなくても、「〇〇研究会」「〇〇研究所」「〇〇推進会」「〇〇委員会」「〇〇する会」「〇〇学会」「〇〇クラブ」「〇〇アカデミー」「〇〇機構」「〇〇組合」など、おおよそ、社会的な活動をする団体は協会と呼ばれます。

協会の歴史と変遷

協会の歴史と変遷について確認していきましょう。協会の変遷を知ると、協会にもトレンドがあることがわかります。

【協会1.0】組合・業界団体型の協会

協会のはじまりは「組合」でした。日本には武士の時代から組合は存在していますが、ここでいう組合は、近年のもっと会社的で官公庁を補完する「外郭団体」のような組織です。

あるいは、同じ業界の業者が集まる「業界団体」というのもあります。

その他にも、企業を格付けする協会、審査診断する協会なども現れました。

人や企業が集まって、より良い未来を創ろうとするはたらきがベースにある。こういった「第一次協会ブーム」を「協会1.0」と呼んでいます。

【協会2.0】検定試験型・資格講座型の協会

業界団体を中心とした協会が設立するなか、その後、「検定試験」を行う協会が現れました。

そして、「資格講座」を行う協会が現れました。ある分野に特化した民間資格を提供するさまざまな協会が設立されました。

なかには、数万人の会員組織を誇る協会や、民間資格で立ち上げたのち、国家資格に昇格する資格をもつ協会も現れました。

そんななか、2008年、社団法人法および財団法人法が改正されることになり、「一般社団法人」「公益社団法人」、「一般財団法人」「公益財団法人」の設立が可能になりました。
とくに、一般社団法人はこれまでの社団法人とは違って、行政の認可が要らず、株式会社のように誰でも設立することが可能になったため、この仕組みを利用して協会を立ち上げる団体が増えました。

資格講座や検定試験などを通じて、広く会員を集めることで、協会の抱く目的を達成しようとする活動が盛んになりました。こういった「第ニ次協会ブーム」を「協会2.0」と呼んでいます。「協会2.0」によって、一般の生活者にも広く協会という組織が認知されました。

【協会2.5】協会ビジネス

その後しばらくして、「協会ビジネス」が現れました。良くも悪くも「協会ビジネス」の出現によって、協会でスタートアップする人が急増しました。

協会ビジネスでは、主にお教室のオーナーが自分のスキルをメソッド化して、独自の基準で認定資格を発行します。そして受講者に対しては、昔の“家元制度”のようにのれん分けした“お教室”の経営ができる権利を与えました。そういったビジネスの仕組みを浸透させていきました。

ところがいっぽうでは、協会ビジネスがビジネスへの参入障壁を低いものとしたため、本来協会づくりに不向きな事業者が協会を立ち上げました。そして、協会を立ち上げてはみたものの、なかなかうまくいかずに解散したり、休業するケースが増えてきました。
この問題の本質は、協会ビジネスは“協会”の冠をつけた一つのビジネスモデルであって、本来の意図する協会ではないということです。協会ビジネスは、協会ではないのです。

理念や信念なき単なるビジネスモデルとしての開業では、個人の収入にしか興味がなくなります。人生をかけて社会のためにどうしてもブレイクスルーさせたいこととはならないため、簡単に諦めてしまうわけです。

この時代は、広く「協会」の存在が伝わった華々しい瞬間でもありましたが、いっぽうで、私利私欲に溢れた悪しき協会が乱立したために、「協会」の質を著しく落とした時代でもありました。

「協会と協会ビジネスの違い」「認定講師型の協会はつくらないほうがいい理由」「正しい協会のつくり方」など、これらのポイントを知りたい方は、こちらの講座がおすすめです。ダークサイドに落ちないためのとても大事なポイントです。


【協会3.0】サークル型

「〇〇好き」な人が集まるサークル的な協会が増えました。お金だけが大事なことではない、という価値が見直されはじめ、「〇〇好き」のオフ会の延長で、大きな全国大会などのイベントを催す楽しみたい人が集まる協会がです。

【協会3.5】ビッグデータ型

協会の会員を無料で募り、ビッグデータ化し、企業から収益をあげる新しいスタイルの協会もできました。ユーザーは無料、広告したい企業が広告料を支払うGoogleと同じ事業モデルです。

この時代は、「協会」というあり方が拡大解釈され、新しいアイデアの協会がたくさんできあがりました。

ところが、ここでもやはり協会の本質を見失った運営をして、フェイドアウトしていくケースが増えました。気をてらった協会は、結局はほとんどうまくいきませんでした。

この時代は、協会が多様化しました。従来の資格講座型の協会から新しさを演出するために、さまざまなアイデアの協会が立ち上がりました。

【協会4.0】企業型

協会4.0は、会社が協会をつくる流れです。これまでも会社が協会を設立するケースはありましたが、本質的には、会社の運営をする“協会風な会社”でした。それが、社会性ある活動をする生活者コミュニティを形成しようとする、“協会らしい協会”を立ち上げる会社が出てきました。そういった動きは、会社だけでなく、研究所やクリニックなどの施設でも見受けられます。

【協会5.0】オンライン・サロン型

昨今、オンライン・サロンが増えています。コミュニティをつくることは、友だちをつくることと似ています。会社が協会を設立するためのポイントを徹底的に分析して解説する講座があります。
中小企業の社長および担当者、クリニックのオーナー、施設長、サロンオーナー、お教室の先生、個人事業主など、会社で協会を立ち上げる方は、一度確認されることをおすすめします。

【協会6.0】ひとりビジネス型

コロナ禍によって、リモートを通じて講座や検定試験のオンライン化が一気に進みました。それにともなって、D2C(Digital to Consumer)の流れが生まれました。
これまでは、オフラインで(じっさいに会って)会員コミュニティをつく利、育てることが必須でした。しかしこれからは、自動的にオンライン上で受講できる仕組みであったり、理事長と直接やりとりをしながらオンライン・サロンを運営したりする、ひとりビジネス・スタイルの協会が人気です。

まとめ

協会は時代に求められる形に変化してきました。

《協会1.0》 業界団体、組合
《協会2.0》 資格講座、検定試験
《協会2.5》 認定講師(協会ビジネス)
《協会3.0》 ファン、サークル型
《協会3.5》 ビッグデータ型
《協会4.0》 企業の社会貢献、協会事業部
《協会5.0》 コミュニティ、サロン
《協会6.0》ひとりビジネス、D2C

時代とともに新しいスタイルの協会が誕生しています。あなたにあったスタイルの協会を立ち上げてみてください。



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