mRNAワクチンの衝撃

こんにちは、よさそう®です。

多くのかたが接種しているコロナワクチン。ファイザー製とモデルナ製が主なワクチンですね。
そのファイザー製のワクチンは、ドイツのビオンテックというmRNA医療に特化した会社が製造しています。

このビオンテック社のワクチンができるまでの過程、そしてmRNAワクチンのメカニズムについて解説しているのが、「mRNAワクチンの衝撃」です。

mRNAワクチンの仕組み

最適化されたmRNAが適切に脂質に包まれてリンパ組織に届けられさえすれば、それらの器官でうろうろしている樹状細胞、つまり将校が十分な音量で警鐘を鳴らし、強力な免疫反応を呼び起こすのだ。

mRNAワクチンの衝撃 第4章より

mRNAはその機能を果たすと数分もしないうちに人体によって分解されるため、そういったダメージを与えることは不可能だ。この分子は細胞質までしか到達できず、DNAを改変する可能性はまずない。

mRNAワクチンの衝撃 第2章より

私たちが接種しているワクチンは、mRNAというものとして体に入ってきて、免疫反応を起こさせるためのメッセージを届けたら、分解されて居なくなる、という仕組みです。

厚生労働省のホームページではこのように紹介されています。

これまで我が国において使用されていたワクチン(不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みでした。

mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンやウイルスベクターワクチンでは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる遺伝情報の一部を注射します。人の身体の中で、この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部が作られ、それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができます。

厚生労働省 新型コロナワクチンQAページより 太字は筆者追記

つまりこれまでのワクチンが、ウイルスの一部を注射していたのに対して、mRNAワクチンはウイルスの設計図を注射して、「こういうやつが来たら、注意してね!」と体に伝えることで、ウイルスに対抗する、という仕組みなんですね。

さらに気になった方は、ビオンテック社のホームページで図解されているのでご覧ください。

ワクチンが作れないウイルスが存在する理由

HIVやC型肝炎ウイルスなど、かなり以前から存在しているウイルスに対して、ワクチンがなかなか作れないのはなぜだろう?と不思議でした。本書の中で、その理由が紹介されていました。

科学者にとって悩ましいことに、このウイルス(HIV)は驚異的なスピードで変異するため、抗原を特定するのが非常に難しい。(中略)一人の患者の体内に、世界中のインフルエンザ株を合わせたよりもさらに多くの種類のHIV変異体が存在することも多々あるという。また、肝臓に深刻なダメージを引き起こすC型肝炎ウイルスも、あらゆるワクチン開発の試みを今日まですべて頓挫させてきた。(中略)C型肝炎ウイルスは一度回復したヒトも再び感染してしまうほど、変異のスピードが極めて速い。

mRNAワクチンの衝撃 第三章より 太字と(HIV)は筆者追記

変異が速すぎるからワクチンを作っても、もう別のウイルスになってしまっていて、対抗できないから、ということなのですね。これは初めて知りました。
だからウイルスの変異が遅いほど、ワクチンの効果を生み出せそうだということですね。

なぜ2回接種が大切なの?

インフルエンザワクチンは1回接種が多い。でもコロナワクチンは2回接種、さらには3回接種が進んでいます。
その理由について、このように書かれています。

免疫系は、人体が初めての脅威にさらされたことを知覚すると、いわゆる「初期」反応を示す。そして、もう一度その脅威に出会うと、人体の防御機能を強化する。

mRNAワクチンの衝撃 第三章より

つまり1回目接種で「初期反応」を、そして2回目接種で「防御機能の強化」を実現しているのですね。
さらに適切な間隔をおいて、追加接種することで「防御機能の強化」をさらに促進できるという仕組みということです。

mRNAワクチン開発までのプロセス

さまざまな会社、研究機関、研究者、行政、政府が連携して、人類史上最速でワクチンが、しかもこれまでのワクチンとは異なり、初めてとなるmRNAワクチンが開発されました。

本書でも言及されているように、国家や人種、バックグラウンドを超えて、人々がコラボレーションしてはじめて、イノベーションが生まれるのだと感じました。

本書はmRNAワクチンや免疫反応についても学べます。さらにこの画期的なスピードで開発されたワクチンの製造過程で関わった人々の物語が丁寧に描かれています。その両面から本書は楽しめると思います。


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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


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