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パンみみ日記「ルノアールのお茶に不安を覚える民」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


9月9日(土)
お気に入りの図書館に入り浸る。ゆったりと読書をしていた。ふと、隣の席に座る女性がタブレットで漫画を描いていることに気がついた。

アマチュアなのかプロなのかわからないけど、「隣に漫画家がいるぞ!」という興奮がぼくのクリエイター精神を刺激し、3000字の名古屋旅行記をスルスルと書くことができた。

ありがとう、隣の漫画家さん。あなたの作品を、いつか読んでみたい。


9月10日(日)
高校の友人と「したことないことチャレンジ」をテーマに「宝塚を観に行こう!」と話していた。気になる公演を見つけ、チケットを購入することに。

今日から販売スタートなのに、一瞬にして全ての席が満席になった。宝塚のチケット取るのって、こんなに難しいの…?

「なんか中途半端な好奇心で行こうとしてすみません」という気持ちになった。リベンジは相当気合いを入れないといけない。


9月11日(月)
仕事終わり。SDGsをテーマにした講演会へ。これだけ書くと意識高い会社員だけど、大好きな人が登壇者だったので申し込んだのだ。

なんと、登壇者はさかなクン。ぼくは小さな頃から魚が大好きで(過去に書いた)、さかなクンは憧れの存在だった。今、こうして会えるなんて。

中学生以上が対象の講演会なので、「子ども以外のさかなクンファンってどの層になるの」という疑問が浮かんでいたけど、参加者は中高齢が多かった。しかも女性の方が多かった。そうなの!?

さかなクンは話せば話すほどゾーンに入っていき、声も仕草も描くイラストも全部ぜんぶキラキラしてた。魚から派生した環境問題、歴史、栄養学、言葉の成り立ちなどの知識が溢れ出してくる。

(好きを突き詰めると、こんなに輝けるんだ。あんな風に好きを諦めないって、自分にできるのかな)となぜか泣きそうになった。さかなクンが「ボラはなぜ飛び跳ねるのか」を説明している間に目を潤ませていたのは、ぼくだけだろう。

あんな風に「好き」エネルギーを誰かのために使える人に、ぼくはなりたい。


9月12日(火)
ランチに行くとき、後輩の子の髪が短くなっているのに気がついた。「髪切りましたね!めっちゃいい!」と声をかける。

「わあ!嬉しいです!男性で気がついてくれたの、よさくさんだけです!」とウキウキしてくれた。

(やっぱり変化を褒めるのって、大切だよなぁ)としみじみ思う。心のノートに書き留めたところで、別の後輩の変化にも気がついた。よし、声をかけよう。

「もしかして、メガネ変えました?」

自信満々に一言。彼女はとても笑っている。ぼくが最初に気がついたのかもしれない。

「変えてないです」

変えてなかったね。変えてないよね。とても恥ずかしいね。

「変化に気づく男」として調子に乗るのは、今後いっさいやめようと思います。


9月13日(水)
仕事終わりは職場近くの図書館に寄るのだけど、今の時期は閉まるのが早いのだ。その代わりとして、別の図書館に寄るために、最近は定時上がりを目指している。

会社の人たちとのランチで、そのことが話題になった。「最近、よさくさん爆速で帰りますよね」。今まで残業続きだったので、印象に残っているみたい。後輩の子が推理を始めた。

「私、思うんです。よさくさん、同棲始めました?それか犬飼いました?じゃなきゃ、あんなに早く帰んないですもん」

そう思われてんのかい。まあ、確かに急に早く帰るようになったからね。

「おなじみの図書館が早く閉まるので、別の図書館に行くためです」と弁解したところ、「絶対嘘だ」「女か犬だ」とあまり信じてもらえなかった。

「図書館と女と犬」って並びすごいな。近代アートの作品名かな。


9月14日(木)
営業の合間にルノアールへ。お恥ずかしながら、はじめて行った。東北や北海道に、ルノアールはないのだ。

(ちょっとお高いけど、電源もあるしあったかいおしぼりくれるし、落ち着けるな…)と都会の喧騒を忘れゆったり。

しばらくすると、店員さんがあたたかいお茶を置いてくれた。(急に和のおもてなししてくるやん…どういうシステム?)とはじめての経験に戸惑う。

嬉しい反面、不安になった。これは「長居しすぎや。そろそろ帰れや」という京都的メッセージでは…?思わず「ルノアール お茶 意図」で検索。

どうやら、「早く帰れ」ということではないらしい。純粋なサービスとしての提供らしい。ただ、ネット上に同じく不安になっている人がたくさんいて安心した。小心者クラブ。

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