パンみみ日記「常連ランキングで自分が何位か知りたい」
日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。
6月30日(日)
親友のミネくんと一緒に、大学の後輩2人を誘ってランチ。後輩の1人はほぼ卒業ぶりなので、6年越しの再会。
見た目に少しの変化はあったとしても、話し出せばお互い当時のキャラクターに戻ってしまうのだから不思議だ。
ごはんを食べながら大学時代を思い出す。後輩の2人がサークルの新歓練習会に来たとき、「どうしてもこの子たちを入れるべきだ」と直感が囁いたのを今でもハッキリと覚えている。
こうして楽しくおしゃべりしている今、あの直感が間違っていなかったことを実感する。人と会ったときの「この人と一緒にいるべきだ」っていう感覚は、どこから来てるんだろう。
7月1日(月)
仲良し3人グループの柴犬さん(温厚な先輩)とパピコ(愉快な後輩)とビデオ電話。現在パピコは九州にいるのだけど、9月から東京の部署へ異動することになったらしい。
4年ほどいた福島で、異動を言い渡されたときのことを思い出す。「そろそろ出たいな」と思いつつも、いざ離れるとなると寂しくてしょうがなかった。
福島から札幌への異動は、言い渡された瞬間はワクワクしてたからあんまりセンチメンタルじゃなかったけど。
けれど当時の行きつけのお店の店員さんやサークルの仲間たちに別れを告げていくうちに、自分の気持ちがよくわからなくなっていった。
よさこいサークルの先輩にオリジナルタオルを餞別にもらった夜、ワンルームで1人涙がポロポロと溢れたことを思い出す。
「もうちょっと、もうちょっとだけいられたら」と思いながら、こたつ布団を濡らしていた(枕ではない)。
意識を今に戻す。どうやらパピコも九州が大好きになったようだ。彼女が異動する前に、柴犬さんと遊びに行くことにした。
あなたがはじめて配属された思い出の土地を、存分に案内してよ。その気持ち、他の人よりもわかる気がするから。
7月3日(火)
会社。仕事を終え、エレベーターフロアへと向かう。すると、タイヨウさん(この世の主人公みたいな先輩)がタッタッタッと追いかけてきた。
「よさくさん! 追いついた〜。この間話したどら焼き、実家から持ってきました!」
腕にはいくつかのどら焼きを抱えている。そして急に、タイヨウさんは声をひそめて顔を近づけてきた。
「…でも実は全員分なくて。ここでこっそりお渡しします。何味がいいですか?」
と、と、特別扱い…! ぼくが女の子だったら、確実にハートを撃ち抜かれているやつだ。熟考したのち、1番シンプルなどら焼きを選んだ。
他の人にバレないようにお菓子を渡されるドキドキ。まるで学生時代のバレンタインデーみたい。昇降口の緊張感が蘇る。
帰宅後、もりもりとどら焼きを頬張った。めっちゃおいしかった。
7月4日(木)
仕事でどんくさいミスをしてしまい、「ぼくはあの先輩のように完璧にできない…」としばらく落ち込む。もうどうしようもないことなんだけど、ぐるぐる考えちゃうんだよなぁ。
そんなとき、とある動画に出会う。犬がハードルなどの各種目をクリアして、タイムを競う大会の映像だ。通常、シュッっとしたボーダーコリーなどがドンドコ会場を駆け巡っているやつ。
なのになぜか白くてちっちゃいコロコロわんこが紛れ込んでおり、終始ポテポテと走りながら競技に挑んでいる。
表情がいい。平均台みたいなのの上で、わんこが「みんな、ぼく頑張ってるよね?」とでも言っているような顔を見せるタイミングがある。この瞬間に、心を溶かされた。
自分のペースで一生懸命やって、そんな自分を認めてあげることって素敵だよね。デキる人と比べて落ち込んでしまう時には、この動画を見よう。ありがとう、コロコロわんこ。
7月6日(土)
「古本を交換しておしゃべりする会」を開催した。
本当はね、こういうのを自分で企画するタイプの人間ではないのよね。実は自分でも「よくやるよな〜」と他人事のように捉えている。
でもやっぱりやってよかった。みなさんがとっても楽しそうにしていて、やる意味を見出させてくれた。
イベント中、ぼくがくじ引きを提案するもルールに穴が空いているというポンコツぶりを見せていたのだけど、みなさんにフォローいただいたのもよかった。やさしい世界。
あと参加者同士で質問をし合っているところを眺めていたら、心の中に「あなたたち絶対気が合うわよ!」と叫ぶお見合いおばさんみたいな人格が現れた。
また開催するときにはぜひお付き合いください。
p.s.「パンみみ日記は水曜日に更新される可能性が高い」という裏法則に気がついた方がいて嬉しかった。ゲームの開発者の気持ち。
7月7日(日)
行きつけの喫茶店へ。いつも1人で来店すると、「2人がけのテーブル席が空いてればそこへ、空いてなければカウンター」といった法則で案内される。
今日は2人がけのテーブルが空いていたのだけど、マスターに「チョイチョイ」と手招きをされてカウンターに座った。
マスターが休みの日に昼寝をして焼きおにぎりを食べた話を聞いたり、「最近走ってるの?」と背中を押されたり。
近ごろ、「ぼくはこの喫茶店における常連ランキングでいうとどのくらいの位置なのか」ということを考える。
ぼくがお店に行くと、マスターと親しげに話している他のお客さんはチラホラ見るし、2.3回顔を合わせたことのある方はいる。しかし、毎週のように「またこの人だ」と居合わせる人物はいない。
平日に相当通っている人がいるかもしれないけど、もしかしてぼくは常連ランキングで相当いい位置につけているのでは?
ただ、確かめる方法がない。マスターに「実際、ぼくがトップレベルで通ってますか?」とか訊くのはすごく恥ずかしい。自意識の塊である。
【編集後記】
常連ランキングってなに。
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