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パンみみ日記「オリジナルうどんを熱くプレゼンするゲーム」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


2月24日(土)
今日は遠出をして新たな街の喫茶店を開拓しよう、と思ったものの寝坊。近場で済ませるか。ということで、行きつけの喫茶店へ。

マスターが「おはよ〜」と声をかけてくれる。「いらっしゃいませ」が取り払われた瞬間が、ぼくにとっては気持ちがいい。

夫婦で来ていた別のお客さんが、会計時に「ずっと気になっていたんですけど、今日来られてよかったです〜」と青年バイトに話しかけていた。

(そうでしょう?素敵なお店でしょう?)と心の中で相槌を打っておいた。


2月25日(日)
家で映画『街の上で』を観た。

映画『愛がなんだ』に登場するナカハラ君のことが好きだと言ったら、友人に「同じ監督でナカハラ君の役者が主役になっている作品がある」とオススメされたのだ。

鑑賞後、どっと息が漏れる。この映画、大好きだ。日常と非日常のギリギリのラインをフィルムで残している。日常の中で消えてしまいそうだけど、心の大事な部分に居座っている感情。これを映画で切り取った人がいる、という事実に嬉しくなってしまう。

中でも好きなシーンは、主人公と映画サークルの女の子が家で語り合うシーン。異性の家に上がり終電をなくすので、恋愛路線に行くのか…と思いきや、絶妙なラインの感情起伏が続いていく。愛情と友情の狭間をくり抜いた描写に、ひとり悶えてしまった(クッションを激しく握りしめる)。

今泉監督の作品、もっと観たい。

2月26日(月)
会社でランチ。余った時間に同僚たちと暇つぶしをすることに。「どこでもパーティゲーム」というアプリで「うどんTRPG」をした。

ルールで既に好き

うどんの具材はサイコロでランダムに決められる。これをプレゼンして「おいしそう」と思わせるゲームだ。

こんな感じ

ぼくが完成させたのは「つゆ=お湯」、「トッピング=プリン」という、最弱うどんだった。どう考えてもおいしくない。

けれど、諦めない。「ごほうびプリたまうどん」という名前をつけ、「うどんの概念を覆しにきました!3時に食べたい、ご褒美スイーツのご紹介です!」と熱くプレゼンした。

なぜか投票を集め、優勝した。このゲーム、得意なのかもしれない…!


2月28日(水)
会社の人とテニス。都内の有名なインドアコートで開催。

綺麗すぎて泣いた

音が「パコーン!」と鮮やかに響くので、普通の球でもすごくいいショットに思える。「上手くなったぜ」と盛大に勘違いした。

東京って、やっぱりすげえ…!(引っ越してから1年以上経ったのに未だに思う)。

2月29日(木)
会社でランチ。うどんをすすっていると、後輩から「プリンは買わないんですか?」と訊かれた。頭にクエスチョンマークを浮かべていると、「ごほうびプリたまうどん…」とつぶやかれる。先日のゲームがフラッシュバックして吹き出す。

後輩がぼくの産み出したうどんを覚えてくれてるの、嬉しい。いつか本当に作ってあげたい(迷惑)。


3月1日(金)
営業で商談。ここは1年前、ひざを震わせながら引き継ぎに来たお客さんだ。今のぼくは、もう声がうわずらない。相手が欲しい言葉が、少しわかる。1人で胸を張って、提案できる。

ひと通り商品をご案内すると、お客さんが少し恥ずかしそうに口を開く。

「あの…正直なところ、御社のご説明が4社の中で1番わかりやすくて、よかったです。ホントに、助かります」

あぁ、1番必要としていた言葉だ。だってあなたの今までの意思決定を見てきて、「きっとこの提案なら刺さる」と考えて、準備してきたんだもの。

ねぇ、1年前のよさく。君がなりたい姿に少しずつ近づいているよ。「営業って楽しいかも」なんて浮き足立って帰路についてるよ。信じられないよね。

だからもうちょっと、そのまま頑張れ。


p.s.文学フリマ用の書き下ろしエッセイを書いているので、パンみみ日記のみが続いております〜。

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