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パンみみ日記「よさくとワンコの4日間」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


11月22日(水)
仕事終わりに実家へ。ぼくにはミッションがあった。それはワンコのお守り。母と姉が明日から沖縄旅行に行くので、ぼくがワンコの面倒を見ることになったのだ。

久々に母の手料理を食べながら和む。ふと家を見渡すと、ツッコミどころを見つける。

電子辞書に「マグロ」て。何がどうなったらそうなるの。謎解き始まってるのかな。

ごはんを食べ終わると、テレビを見ているのに姉が「これ見て」と片っ端からYouTubeのお気に入り動画を見せてきた。

その後は、お互いにハマっているナイチンゲールダンスが出ているアメトークの録画を見た。姉弟のやることは学生時代と変わらないし、これからも同じなのかもしれない。

母からワンコのお世話レクチャーを受けた。なぜかその間、ワンコ本人(本犬)はうなだれて激ションボリしていた。

察知しているのだろうか。「明日からはコイツが世話担当か」ということに。全く信用されていないではないか。失礼な話である。こっちは社会に出ているのだ。エサやりくらいできるわい。

「しばらくよろしくな」とワンコの頭をなでた。君との4日間が始まる。


11月23日(木)
祝日。母と姉が旅立った。ワンコにエサをあげる。ワンコが食べ終わったあとも、熱い眼差しをぼくに向け続けていた。そこでいつもの量より少ないことに気がつき、慌てておかわりを持ってきた。ごめん。エサやりも満足にできない社会人だった。

地元近くの図書館へ。「凍りのくじら」(辻村深月)を読了した。400ページくらいまでは大きな事件が起こらなかったので、まったりと読み進めていた。

ただ、ラスト100ページくらいから感情を揺さぶられるできごとや描写が立て続き、前のめりに文字を読み進めた。いろんな人がオススメする理由がわかった。

帰ってワンコにエサをあげる。実家にぼくとワンコだけ。時間がゆっくりと流れる。やることがないので早めに寝た。


11月24日(金)
ワンコにエサをあげて職場へ。実家から職場に行くのははじめて。久々の長時間すし詰め電車に、1日の体力の80%を持ってかれた。遠くから通ってる人すごいな…。優しくしてあげよう…。

帰ってワンコにエサをあげる。ワンコも「母と姉いなさすぎでは?」と疑問を抱いているかもしれない。「もうすぐ帰ってくるよ」と伝えたいけど、伝達手段がない。とりあえず口頭で伝えた。ワンコは「何か伝えたいらしいが、それよりエサの追加はないのか」といった表情を見せた。


11月25日(土)
ワンコとお散歩。たぶんぼくを主人として認識していないのだろう。自分の好きなところばかりに興味を示し、まったく進んでくれなかった。こちらが散歩させられているのかもしれない。

前方ではなく枯葉に突進する

午後は外出の予定があり、帰宅が遅くなる予定だったのでエサやりタイマーをセットした。エサを箱に入れ、ダイヤルをガチガチと回し、時間になると「チーン!」とフタが開く原始的な仕組みだった。トースターと同じ原理。大丈夫かな、これ。

神保町へお出かけ。読書好きが集まるイベントに参加し、本屋めぐりを楽しんだ。長くなったので詳細は別記事で。

帰宅すると、きちんとエサやりタイマーが発動していた。よかった。「明日は家族が帰ってくるよ」とワンコをなでまわして就寝。


11月26日(日)
ワンコと実家暮らしの最終日。母と姉が帰ってきた。ワンコも久々にふたりに会えた喜びを爆発させながら飛びついていた。よかったわい。

2人に大層感謝され、沖縄土産をたくさんもらった。そして旅先で撮った写真を、スライドショーのごとく紹介される。

姉が遅めの反抗期を発動させたとき、母との関係はかなり悪かった。そんな2人が、今では仲良く旅行を楽しんでいる。家族の親密度とは、意外と潮のように満ち引きをするのかもしれない。

2人の話に相槌を打ちつつ、4日間が無事に終わったことに胸を撫で下ろす。さてと、一人暮らしに戻りますか。


11月27日(月)
久々の自分の部屋での夜。こたつから出ずにリモコンとティッシュが取れる配置!好きな食べものと飲みものしか入っていない冷蔵庫!大好きな肌ざわりのふとんと枕!好きなものしかねえ!!

とあらためて、ひとり暮らしの充実感に入り浸る。誰かと話しながら眺めるテレビも楽しいし、母が作る料理はもちろんおいしい。だがしかし、己の選んだものでしか構成されていない空間はやっぱり落ち着く。これだからひとり暮らしはやめられねえ…!と身体が叫んでいる。

結果として、パーソナルスペースガチ勢としての自覚を高めてしまう4日間になった。

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