パンみみ日記「恋愛なんかするより、パンどろぼうを読もうよ」
日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。
11月27日(月)
文学フリマで購入した本を2冊読了。僭越ながらご感想を。
◼︎春夏秋冬、ビール日和(つる・るるるさん)
埼玉でのひとり暮らしを綴ったエッセイ。近所の住人との出会いや、部屋での虫との死闘にくすりとしてしまうエピソードばかり。
ぼくが社会人1年目で初めてひとり暮らしをしたときの感情が解凍された。少しの不安と大胆な解放感。続々と現れるその土地ならではの不思議な出会い。あぁ、あの瞬間にしか出会えない感情たちがそこにはあった。
特に好きなエピソードは「ようこそ、カルシファー」。リサイクルショップでコンロを買うお話。ショップ店員が「ついにコンロを買いに来たんですかぁ?」と話しかけてきたり、自転車のカゴにしばりつけたコンロを取り出すのにアパートの住人が助けに来たりと、人々とのふれあいが凝縮されている。そんなにアットホームなことある?
ぼく自身も不思議な人に絡まれたり、お店の人との会話から何かしらの事件が発生することが多い。学生時代に「よさくはコナン体質。行く先々で何かしら起こる」と言われたことがある。
しかし、つる・るるるさんはぼくを遥かに超えるコナン体質なのだ!他のエピソードでも数々のほっこりとした事件(?)に巻き込まれている。
コナン体質に勝ち負けはないけど、「完全に上を行かれた…」と空を仰いだ。ひとり暮らし独特の自由な世界観と、とりまく愉快な仲間たちのエピソードに何度も楽しませてもらった。
◼︎「なけなしのたね」(とき子さん)
OL時代や転勤族の妻として各地で過ごしたエピソードが込められたエッセイ。母から娘に託した想いなど、じんわりと沁みる家族話も。
ぼく自身がかつて転勤族として東北と北海道に住んでいたので、「置かれた場所で踊りたい」的な下された運命を存分に楽しもうぜマインドに激しく共感した。
特に好きなエピソードは「太陽エネルギーをもつ大家さん物件に住んでいる」。腰が低く優しい大家さんが、数々の新鮮なお野菜をエントランスに置いてくれるお話。小松菜や春菊を提供するだけでなく、えだまめ収穫体験なども開催してくれる。そんな大家さんいるの…?
ぼくが福島で住んでいた物件の大家さんを思い出した。すれ違うと丁寧に挨拶をしてくれて、エントランスは季節ごとに凝った展示をしていた。洛中洛外図屏風(模写)を飾っていることもあり、友人に自慢していた。
ぼくがnoteを始めたのが2021年なので、転勤初期のことを記した記事が全くない。思い出せるうちに書き残しておきたいと思った。
転勤という抗えない選択にも、パッションで彩ることの楽しさを思い出させてくれた作品。
おふたりとも、素敵なエッセイをありがとうございました!
11月29日(水)
聴いているポッドキャスト番組におたよりを送ってみた。書いては消し、書いては消して「これでちゃんと想いが伝わるのだろうか」と悩み抜いた。
おたよりを送るって、とても感情エネルギーを使う。気持ちが届くか不安だけど、読んでもらうのを想像するとワクワクする。
今まで自分がやっているポッドキャスト番組におたよりを送ってくれた人たちに、あらためて感謝の気持ちが溢れ出した。みんな、時間と感情をかけてくれてありがとう…!すごいことだよ…!
想いを詰めるだけ詰めて送信した。さて、きちんと気持ちは伝わるかな。
12月1日(金)
仕事終わりに、親友のミネくんとサウナに行くことに。ミネくんが「AとBのサウナ、どっちがいい?」と選択肢を提示してくれた。ありがたい心遣いだ。
職場から行きやすく、まだ行ったことのないAのサウナを選んだ。すると、ミネくんから返答が来た。
「Aのサウナの強みはアクセスだけだ。Bの方が圧倒的に魅力的だから、Bにしよう」
なぜ選ばせたんだろう。
Bのサウナに行った。ロウリュでジャンジャンに汗をかき、水風呂でキーンと身体を冷やす。日常の疲れなんて、どうでもいいところに吹っ飛んでいく。今週もお疲れ様でした。
12月2日(土)
読書会で知り合った方とカフェへ。店内の棚に絵本があった。あっ!「パンどろぼう」だ!
保育士をしている姉に「今、子どもたちはパンどろぼうに夢中」という情報を聞き、気になっていたのだ。
手に取り、読み進めてみた。すると、途中の見開き2ページの内容が衝撃かつ絵のタッチがおもしろすぎて笑った。みんなも手に取る機会があれば読んでほしい。
お茶をした方とははじめて2人で会ったのだけど、好きなものやハマっているものが同じすぎた。辻村深月、逃げ恥、ロングコートダディ、ヴァイオレットエヴァーガーデン、小笠原諸島への旅行などなど…。
恋愛文脈で連絡先を交換したこともあり、普通ならこのまま盛り上がって恋人を視野に入れた関係性に発展しそうなもの。
だがしかし、ぼくは徹底的な「踏み込めない族」なのだ。相手に確実な好意があると確かめられないと、こちらの好意を差し出すことができない。一歩踏み込んだ言葉や態度が取れないのだ。
きっと相手も同族だ。こんなに話がはずんでも、恋愛の話題を全くすることなく時間が流れていく。
結局「また会いましょうね」とお互い言いつつも、次に会う約束をしないでお別れしてしまった。
趣味はとても合う人だけど、好きなのかは正直わからない。きっと相手も同じ気持ちだと思う。どちらかが踏み込まなければ、きっとこの先は変わらない。様子を見続けて、気がついたときには2人の間に半透明の膜ができてしまう。
自分の感情が掴めない。こんなとき、どうすればいいんだろう。やっぱり恋愛モードになるのが苦手だ。あぁ、ずっと「パンどろぼう」をめくりながら、「楽しいですね」って笑ってるだけでいいのに。
あー!自分の取り扱い方、めんどくせー!
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