パンみみ日記「機動戦士ヨサク」
好きなnoterさんたちに憧れて、日記を始めました。いつもは明確に書きたいことが浮かばないと文章にできない。それなりに中身がないと投稿できない。
けれど、日々のできごとをかき集めたのなら。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。名付けて「パンみみ日記」。
1月23日(月)
営業の同行。普段は育成担当の先輩に連れて行ってもらうのだけど、今日は会社の副社長的な人と一緒に行った。
おかしいのである。なんで会社のナンバーツーが現場に出てんねん。
どうやら普段は現場に出ていないようで、急遽代打として営業に行くことになったらしい。20年振りの現場とのこと。なぜ同行誘ってくれたんだ。
正直不安だった。マネージャーとしては信頼できる人なのだけど、流石に現場を離れている人だ。先方から実務的な質問を受けたら答えられるのであろうか。
同行するぼくも、入社したてでほぼ知識がない。2人で大恥をかく可能性がある。今日は波が荒れる航海になりそうだぜ…!
ソワソワしながら商談に。副社長はノリで提案を乗り切った。なぜかぼくにも話を振られたが、ノリで切り抜けた。なぜかいい感じに話がまとまった。
2人で会社を出る。「なんとかなったな!あはははは!」と副社長は満足気だった。よかったよかった。
新橋で魚定食を2人で食べ、スタバでコーヒーをすする。東京のサラリーマンっぽいわぁ。地方でしか働いたことなかったから、全部新鮮だ。人生はノリで乗り越えていきたい。
1月24日(火)
ランチにガストへ。ドリンクバーを取りに行くと、近くの席でおばちゃん2人が立ち尽くしていた。
おばちゃん達は、ネコちゃん配膳ロボに話しかけている。何が起きてるんだろう。
「これ、どうやったらおウチに帰るんか分からんな〜」
「どうしたもんかね〜。あっ、そこのお兄ちゃん!教えてくれる?」
店員かのように、自然に引き止められた。呼吸を整えて、ゆっくりと話し出す。
「これですね、『完了』って押すと戻るんですよー!」
「本当か!ありがとうな〜!助かったわ〜!!」
転職したてで、教えられてばかりだったので、最近人の役に立っている心地がしなかった。けれど、今日はおばちゃんの役に立ったぞ。
キッチンに帰っていくネコちゃんは、もう1台のネコちゃんとバッティングして渋滞を起こしていた。頑張れネコちゃん。
1月25日(水)
会社。部長がぼくの席に来た。ななな、なんでしょうか。
部長は「明るく、楽しく、元気よく」がモットーの女性。学級委員長みたいな方で、挨拶を重んじている。
そんな部長が、ぼくのところへ。
「よさくさん、日報読んでますよ」
ぼくは入社したてなので、毎日学んだことを日報システムで課長と先輩に報告している。あれ部長も見てんのかい!部長は続ける。
「プチコメントも、ちゃんと見てます」
恥ずかしい!そう、当然日報には真面目なことを書いている。しかし、毎日コレを読む課長や先輩も退屈だろうと思い、ちょっとずつお楽しみ要素を加えていたのだ。
プチコメントコーナーを作り、業務にギリギリ関係あるかないかくらいの日記を書いていた。昨日のプチコメントは、社内システムの感想を記していた。
ウチの会社では様々なデータベースを集約したシステムがあって、色々な機能が追加できる。スマホのアプリを入れていくような感覚で、ホーム画面にアイコンを追加していくのだ。
過去のクライアント情報をまとめたアプリは、年度ごとにアイコンが分かれている。なぜかアイコンにスヌーピーの絵が描かれているのだが、年度が新しくなるごとにスヌーピーのクオリティが上がっている。
2018年度版はパチモン感溢れるスヌーピーなのに、2021年度あたりから本物レベルなのだ。それをプチコメントに記入していた。
【年々アイコンのスヌーピーがリアルになっていますが、誰があれを描いているのか気になります】
何の気なしに書いたのだが、それを部長が見ていた。そしてぼくに話しかけてきたのだ。
「よさくさん、スヌーピーを書いていたのは、こちらの方です」
部長の後ろに、女性の方がいた。わざわざスヌーピーの作者、連れてきてるうう。スヌーピー作者はモジモジとしながら、語り出した。
「スヌーピーの細かさに声をかけてくださったのなんて、初めてです」
「えっ、あれ社内の人が描いてたんですか!ドット絵みたいので作ったんですか!?」
「そうなんです。本当に頑張って良かったなぁって思えました」
部長はスヌーピー作者とぼくのやりとりを微笑ましそうに眺める。そして、噛み締めるように話しだした。
「私も長い間いるけど、全く気が付かなかったわ。こんなところに気がつくよさくさん、すごいと思います。その目線、大事よ」
とても熱を帯びながら、褒めていただいた。あぁ、スヌーピーのこと書いて良かったな。温かい気持ちで自席に座る。
いや、冷静に何のやりとりやねん。多分、業務で使わない目線やないかい。
よくわからないけど、不思議で楽しい職場です。
1月31日(火)
会社。上司とミーティング。今は転職したばかりなので見習い期間だが、来年度から担当企業を持つことになっていた。
その担当企業が上司から発表された。なんと、クライアントの中で、ウチの会社でNo.1の取引額を誇る銘柄が入っている。
どうなってんねん。なんでウルトラビック顧客を、異業種から来たばっかのヤツに担当さすねん。
ビック顧客は現在、中堅エース社員が担当しているのだけど、その先輩が異動してしまうのだ。色んな事情があり、ぼくがビック顧客を担当しないと上手く回らないらしい。いや、誰か1人くらいいるだろ。
まだ業務の全体像を把握していないので、ビック顧客を担当することがどれほど大変なことかもわからないけど、「機動戦士ガンダム」状態である。
一般市民だったのに、戦火で連邦軍の新型モビルスーツを操縦することを余儀なくされるアムロ。次第に、エースパイロットとして連邦軍の未来を背負い戦うアムロ。
中途で入ったばかりなのに、自社の売上No.1クライアントを担当することを余儀なくされるヨサク。次第に、エース営業マンとして、自社の未来を背負い奔走するヨサク。
「ヨサク、行きまーーす!!」
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