パンみみ日記「インテリギャップ・バレンタイン」
日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。名づけて「パンみみ日記」。
2月10日(金)
会社終わり。空港へ向かう。目的地は北海道。前職の同僚に会いに行くのだ。
本当は去年、ツキコ(半月板損傷した後輩)たちと、動物と泊まれるグランピングに行く予定だった。けれど、ツキコが手術になり中止となっていた。そのリベンジだ。
前職のみんなに会いたいのはもちろんだけど、もっと「久しぶり〜!」という気持ちが高まってからがいいのでは?と思っていた。辞めて1ヶ月で会いに行くの早すぎだろ。
そこでツキコにグランピングを先送りにすることを交渉していた。けれどツキコは「ダメです!犬ぞりは冬じゃないとできないんです!2月に来てください!」とゴリ押しされた。負けた。犬ぞりのインパクト。
金曜の仕事終わりに空港向かうのって、テンション上がるな。みんな元気かな。犬ぞり楽しいかな。
2月11日(土)
北海道でシベリアンハスキーと戯れる。ミーアキャットと一緒に泊まる。楽しすぎ。別で記事書く。
2月12日(日)
北海道を離れる。みんなと別れるの寂しい。
2月14日(火)
バレンタインデー。新しい職場なので、「チョコ配る文化あるのかな?」とちょっぴりソワソワ。
向かいの席には、1個下の後輩男子が座っている。メガネをかけていて、アニメに出てきそうな真面目キャラ。すごいメガネを「クイッ」ってやりそう。やらないけど。
そのメガネくんが、おもむろに手渡してきた。透明のビニールに包まれた、パウンドケーキだ。
「よさくさん。私からです」
え?どゆこと???
「メガネくん、もしかして手作り…?」
「そうです」
クールに即答された。お菓子作るんかい。そして渡す側なんかい。ギャップを爆発させるな。
「そういえば、新入社員のときも作ってくれてたねー!」
他の社員たちも、メガネくんから嬉しそうにもらっている。いや、女子力たかーい。
ホワイトデーは何をお返ししようかな。
2月16日(木)
引き継ぎの関係で、他の課の課長と同行。訪問が終わり、一緒にそば屋へ。
課長は、4月から関西へ異動してしまう。これから関われる期間も短いのだけど、色々と話をしてくれた。本当に色々。
今の会社は伝統的な社風。新しい取り組みには慎重なのだ。
課長はそこに大きな問題意識を抱いており、上層部の思考がいかに凝り固まっているか、マネジメントができていないか、ということをドップリとぼくに語り出した。
まあどこの組織にもあるけど、いわゆる「闇」の部分の話だ。
…開示早くない?ぼくが言うのもなんですけど、あんまり入社したばっかの人に言わないほうがいいと思うよ。
しかし、課長は熱かった。この腐った上層部の体制を打ち壊せないかと、画策している。新しい取り組みを起こしたり、打診したりしているようだ。
課長はこの組織の課題を、それを打破する想いを、変わらないことの悔しさを、ぼくに打ち明けてくれた。
幕末で言ったら、長州藩の革命派である。「徳川の時代は終わった!幕府を倒して時代を変えねばならん!」って言ってるようなもん。
しかし、課長は江戸を離れてしまう。入ったばかりの若い藩士に、夢を託しているのかもしれない。
かつて倒幕を試みた人たちも、こうして想いを託していったんじゃないか。こうして幕府に立ち向かったんじゃないか。こうして日本の夜明けを迎えたんじゃないか。
150年前の侍たちの志に、想いを馳せる。
いや、なんの話やねん。
2月17日(土)
休日。予定がない。ドライブでもしますか。
地方暮らしの時にマイカーを購入し、神奈川に持ってきた。しかし、駐車場代が高い!あと広い駐車場を構えたカフェとか全然ない!マイカーを全然活用しきれていない。
手放すことも考えた。でも無理だ。愛着が強すぎる。一緒に色んな地を駆け抜けた日々がある。
北海道から引越するとき、車は船の輸送で持ってきた。なぜか4週間くらいかかったのだけど、新居にマイカーが到着して、久々に再会したときには泣きそうだった。
「元気だったかい?雪大丈夫だった?船狭くなかった?うおおおおん」
てな具合である。ペットか。
そんな訳で、無理矢理にでも使いたい。今日は車を走らせて新たなカフェの開拓を行なった。
遠方にあるドトールへ行った。「遠征してドトールかよ」と思うだろう。自分でも思った。なんなら家から歩いて行けるドトールある。
しかし、ちょっと郊外にあるドトールはめちゃくちゃ空いていた。ザワザワしてなくて、落ち着いて過ごせる。
何度か引越をしているけど、「絶対落ち着いてて居心地がいいカフェ」を自分の中でいくつか持っておく、ということは大事。生活の安定剤になる。
今週の開拓は成功だ。Googleマップの「お気に入りカフェ」フラグが1つ増えた。
2月19日(日)
読書会で知り合った方と、ブックカフェへ。「読書会で知り合った方」って人生で初めての響き。
好きな本や、本の読み方の話をずっとしていた。朝井リョウ、角田光代、綿矢りさなど、読む作家も一致していたことが多くて、するすると話が続いていく。
話が途切れたら、2人でカフェ内の本棚をジッと眺める。「あれ、読んだことあります」なんて呟きで、会話は息を吹き返す。
ずっとおしゃべりしているのに、なぜか落ち着いた時間だった。本の話をこんなに誰かとしたことがないので、不思議な気持ち。
アウトドアではじける自分もいれば、ブックカフェで本のことをしっとりと語る自分もいる。インドアな自分も、久々に垣間見た。
色んな自分に出会えるのが、休日だね。そして色んな自分に出会わせてくれるのが、「一緒にいる誰か」なのかもしれないね。
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