【短歌】俵万智:史上最強の三十一文字 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)を読んで
俵万智さんのこちらの本、とっても読み応えがありました。
対談、短歌、日記、インタビューなどなど
穂村弘さんとのスペシャル対談「俵万智になる方法」では俵万智さんが短歌を詠まれるようになったきっかけや、お二人の歌の作り方について書かれていました。
一首一首を分析していて例えば、
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ
穂村弘さん曰く、下句が句またがりで普通は引っかかるけど、俵さんのはその痕跡を見せない。字余りでもあるが、ほかの帽子にすることもできたはず。そのなかの最善のバランスを考えて選んでいること、その精度の高さが稀に見る字余りや字足らずを見るとよくわかる。
それから、作中主体は好みじゃないけど、文体の力があるから作中(私)の振る舞いが嫌いな歌でも暗唱できちゃう。嫌いな歌をも読者にインプットさせてしまう文体を俵さんが持っていること、それは何に対しても恐れがない、情報量の少なさに怯えていないということ。
贈られしシャネルの石鹸泡立てて抱かれるための体を磨く
泣き顔を鏡に映し確かめるいつもきれいでいろと言われて
※(私)の主体性がここにはなく、相手との関係性の中で当然のように従属的に描かれているという嫌悪感ということでした。作中主体が好みではないのに覚えてくれているというのはすごい褒め言葉でもあると、俵さん。
それから、穂村弘さんの選んだ俵万智さんの好きな歌としていくつか掲載されていました。
さてさて、もうこちらでは書ききれないほどこの本は、俵万智さんの好きな歌について数々の著名人が歌の分析や俵万智さんとの交流、思いが綴られています。
俵万智さん以後、口語体の短歌のブーム。そして今またブームが来ていて、私もその波に気づいたらのっていた、ということです。
最後にこちらの本にあった好きな歌を載せます。
白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
さみどりの葉をはがしゆくはつなつのキャベツのしんのしんまでひとり
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ではまた
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