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埒外の青い詩集

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¦新しい詩をまとめています。 / 2019.10~
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#言葉

in blue

プランクトンと一緒に見上げた海は もうひとつの空で 見恍れて  あたらしく名前をつけた あ…

逆説的な届出のあれこれ

(✓)確約をとりつけること 保護した紙切れの朱肉は乾くでしょうが (✓)保険をかけること …

二枚貝

紫髪した風水師は禍々しいと言った 明るい色の腰掛けを そうね、オレンジ色かグリーンがいいわ…

耳の中の水

耳の中に街があるのです ほら、今も潮騒の音がして鴎が羽ばたきました ブォンブォンと風切り…

同業者

雨垂れ眼鏡をかけた紫陽花くんが 「僕ラは詐欺師でしょう」 「息を吐くように嘘をつきましょう…

ひぐれて

雨上がり響き渡る境い目 町と町の誤差ゆえの重唱それは夕暮れ讃歌 鞄にいれた筆箱はかたかたと…

作り方

① はじめに蛋白質の皮に水と脂を詰めておく ② 桜の花びらに別れの合図 もぎ取った若芽にまあたらしい感情 花火の端っこに蝉の抜け殻 破れたポイに夜店の残像 枯れかける藻に剥がれ落ちた鱗片 靴の裏の濡れ落葉にさよならの予感 鍋縁の乾いた白菜に伝えられなかった言葉 育たなかった蛹に雪道に融ける流行歌とを 混ぜて入れる ③ 先ほど入れた春夏秋冬の上に 正しい暴論と間違った正論 夜に書いた手紙と朝に破った手紙 あなたへの憎しみとあなたへの愛 正反対のものを何種類か(※お好みで)

お似合いのあさ

あさ、目覚めると長年使って少しかさの減った蕎麦殻枕のすぐ横に、ねこの吐瀉物 ねむけまなこ…

お別れをした年の夏の終頃 ひとめぼれをして買った亜麻色のブラウスは 花弁を思わせる丸衿に翳…

もぬけの夜

命が混ざりあったあの深い夜に 私は私からいちばん遠ざかって 見知らぬ人となったのだ あたか…