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詩集

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2020年3月の記事一覧

無題

39階 ベランダの欄干の上で 外と内を蓄光テープが仄かに示唆する 薄い三日月の視線をずらして…

溶ける顔

食器棚の硝子に映る顔は コーラの泡がぷちぷちと弾け破れる曇グラス 寒い冬凍える身体を温める…

義務と演技

あ、 口唇がぬめりと 濡れたかは あたしにしか 分からないでしょ? 放出する性は 分かり易…

「 飽 和 」

壁にぶつかりまわれ右 壁に当たってまわれ左 な・ん・て・窮・屈・な 世・界・な・ん・だ …

失亡

21グラム消失してしまったあなたは カンバスから弾く 筆先の軽さに似て 事の重大さを 隠さね…

無題

タイルの目地の路地裏 骨だけの秋刀魚の内臓 食べかけのピスタチオ 錆びた鉄板の上の折鶴 皿の…

迷宮

袋小路に溜まった花弁が 小さな竜巻に踊ル躍ル 息も絶え絶えの 手の中の花麩が 浅い海で死ヌ…

無題

らたらたと淘汰 雹落ちて分散するは 選びきれなかったもう一つの偶像 夢の在処 こんな夜は …

Super Moon

ひとしきり大きな月夜の晩に 虚構は剥れ、均等は崩れた ハリボテの箪笥に大切だと思うもの…

si

退屈だと、 鬱蒼としたトンネルはとても長いから 安定を求めると距離は遠退くし 夢想家に付き…

標本

節という関わりのある接続部に針を刺された (不要なものは削ぎ落とした) 浸潤液は丁寧に拭き取…

Dutch wife

合理化のもと いっそあたしは空気人形で 利用される時にだけ機能を発揮して 用が無ければ物…

「   」

緩やかな洗脳につき くるくる廻る宇宙を模した遊具は撤去され 代替えの閉塞感型地雷が埋め込まれた 空き地は空間であっても場所ではなくなった 零れて落ちた爪や埃を透けた熊手で掻き集めては火にくべる 憂鬱な子ども達は何度目かの自分を殺して 新たな「鉤括弧」になってふらふらと彷徨う あれは僕じゃないよ これも僕じゃないの それも僕じゃないね 追われた影から逃げたつもりで こそこそと個は被害者から加害者へと 柩の中のカルシウム物質 死化粧も花もピカる玉も死幣も 容れても意味は無