39階 ベランダの欄干の上で
外と内を蓄光テープが仄かに示唆する
薄い三日月の視線をずらして千鳥足のダンス
排水溝からは石鹸滓とリンスの匂いが絡みつき
真鍮の配管からは生活音が響いては心臓と呼応する
たまに 下から吹き上げる風が
ちいさく髪の毛を遊びに誘い
揺蕩う毛先にはちろちろと
舌を出した蛇口が告げ口

ことさらこんな夜は
五感を開放して確認する互換性

この絶頂期に
堕ちることを夢視て
一歩踏み外せば

暗転の中で私は微笑んでいられるのだろうか


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