お大事に
日本史の授業中、黒板の文字がぐにゃりと歪んで視界が暗転、目を覚ますとマキロンと他人のにおいが渋滞する冷たいベッド、ふかふかのお布団と睡眠は快楽のはずなのにくすんだ白が僕を責めてくる、寝返りでギシリとベッドが音をたて椅子をひく音が返事をする、真っ白な視界が取り払われて校内一美人(仮)の保健医が僕を見下ろす、香水がきつくてマキロンが恋しくなりました、ここはいつだって清潔で静かであなたの城、準不登校児童はあなたを聖人だと信仰します、王子様はあの先生かな既婚者だけど、顔色が良くなったわね終業チャイムが鳴ったら教室に戻りなさい、テレパシーは発信してませんが僕は良い生徒なので従います、すこし窮屈な上履き履いて扉をスライド、勢い余って全開、ふりかえって「お世話になりました失礼します」「ここまで運んでくれた○○君にお礼を(今度は静かに扉を閉めて)言うのよ」僕の体調より○○君の行動が成績表を輝かせます、僕は僕に「お大事に」千利休の茶がのみたい
珈琲を一杯。