2月の短歌
今日だけはあなたのために我慢する甘ったるいチョコレート捧ぐ
制服のリボンをきゅっと結んだら わたしは私に変身する
僕のことうつしていないその時の君の瞳がいちばん綺麗
人類が清く正しくあるために俺らの愛は汚されていく
お刺身を新鮮な死骸と言うきみ 僕はとてもカワイイと思う
恋人ができたら君も人間をみんな愛してしまうでしょうね
まだジャスコだけど君にはイオンまで行こうって言う思春期だから
急行がプラットホームにすべりこむ瞬間 息止めて死んだふり
丁寧に林檎むいてく君の顔 穏やかすぎて悔しくなるの
牛乳を温めできた薄い膜に包まれて冬を越したい
誰かからいいねくる毎消費される誰かの死にたいのツイート
男とか女のまえに人間として君を好きじゃダメなのかな
僕たちの関係に名をつけないと勝手に男女にされてしまう
この手紙あなたの元へ届く頃 生きていたら破りに行くね
あなたの声を忘れてく真っ白な雪が世界を消してくように
珈琲が冷めてしまった でもなぜか贅沢な時間とおもったの
丁寧にあなたが包む餃子の餡がとても羨ましくて
珈琲にミルクを注ぐなめらかに混ざっていくわたしとあなた
サングリアに酔うように恋をするなにも知らない綺麗なあなた
珈琲にミルクを垂らすその染みが許されるように消えていく
ラブソング共感できないわたしたち きっと誰より相性いいね
空高く舞い上がりたいシャボン玉 無邪気に弾くきみはカワイイ
アイスティーかき混ぜる度かろかろと氷が揺れる君と目が合う
ふかふかのホットケーキを切り分けるフォークはちゃんと鋭く光る
クリームを泡立てるあなたのその手 天使の生まれ代わりみたいね
目薬をさした直後に視る世界 実はこっちが本物かも
目覚まし時計の電池をかえないでこのまま君と永遠に夜
かわらずに君が笑う世界なら悪役になる覚悟もあるよ
桜舞う その一瞬で目の前の 君も一緒に何処かに消えて
満開の桜の下で待つ君が幻なのか現実なのか
ピザまんを邪道だねって言いながら半分こする冬がすきです
屋上に靡くシーツの隙間から覗くあなたの幻をみた
ラブソングに共感してみたいから君に恋してみてもいいかな
新婚の先生の机に置いてる夫婦写真が眩しすぎるの
パレットの鮮やかな色かき混ぜてわたしの心みたいに濁る
珈琲を一杯。