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お金で友情は買えるのか?

社会人になり、早三年が過ぎようとしている。
いつもと変わらない環境に慣れ、刺激が欲しくなった私は

ギタリストとデニムを買いに京都に来ていた。

相棒。それはロマン。

男という生き物は、相棒だのなんだの常に一緒にいてくれる物ものが大好きだ。
それは、次元大介であり、月本誠であり、小津である。

しかし、ヒトを相棒にすると思うと少し厄介である。
時に、善は善に留まらず悪にも染まろうとする感情は、常にいるものとしては少し面倒がくさい。
ならばならばと言い訳ならべ、私がたどり着いたのが

デニムだ。

ファッション好きな男なら一度通るであろう道、育てる生デニム。
いつかの私も、それに惚れずっと欲しいと思っていた。

人間。それは欲深き者。

時は過ぎ、20歳。ついにその時が来たのである。
しかし、私も欲深き者。どうせ高い買い物をするなら周りを巻き込んでしまえと打って出たのである。

私に巻き込まれたのは、ギタリスト。
共通の親友を持つこの男とは、面識はあるが挨拶を交わすくらいの間柄であった。

『デニムを一緒に買いにいく人はいないか』とSNSで募集していた時、
正直誰からも連絡はこないと思っていた。そんな時、唯一声をかけてくれたのだ。

頭に電撃が走った。

ミュージシャンとファッション。
セックス・ピストルズとヴィヴィアン、カートコバーンと501。
ミュージックとファッションはいつの時代も密接に関わってきた。
彼もまたミュージシャン。これほどの適任者はいないだろうと思った。

欲深き私の行動が、運命的な出会いに導いてくれた。

金の存在価値に勝て!

しかし、ここで一つの問題が。
実はこのデニム奢るという約束をつけて行ったものだった。

お金というもの時にとてつもない力を発揮する。
どちらかに優劣をつけるのもまた簡単で、逆らえない関係になってしまうパターンもありゆるのだ。
関係が友情に変化するのか、それが今回の醍醐味であった。

心配を抱えながら迎えた当日、そんな心配はいらなかった。

話していくうちに見えてくる彼の価値観。
『音楽は自己完結しない趣味』と言ったのが最も印象に残っている。
お金の正体を理解していたし、何より面白そうという好奇心のみで会いにきてくれたのが、一番だった。
これは良き友になれそう。すぐにそう思った。


12月12日。私は十年いや生涯を共にするであろうデニムと

お金では買えないお金以上の価値のあるものをお金で買った。









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