美味しくいただきました。(『ストロベリーとシガレット』こばなし)
※本編読了後推奨
※2022年クリスマスSS
いつのクリスマスだったか忘れたけど、一度だけ、千年がケーキを持って帰ってきたことがある。
手渡された小さな紙の箱を分解するように開けると、スペースを埋めるための丸い厚紙に挟まれたショートケーキがひとつ、真ん中にぽつんと入っていた。
ケーキ以外の色を塗り忘れたぬりえみたいな寂しい箱の中から、落とさないように慎重にケーキを取り出してお皿に置いた。じょうずに切り分ける自信がなくて、礼とふたつのフォークでそのまま食べることにした。