今を生きる
浮かんだ瞬間から、音を立てて崩れた。
バラバラになって宙を舞うようにして、言葉たちは消えていく。
味気ない言葉だけを残して、ほとんど全部がほどけていくのだ。
飲みかけの珈琲が既に冷めきっていることにも気が付かない。
言葉だけじゃなく、色々なものが味気ないのだ。
冷めた珈琲も、褪せた言葉も、生きている今日も、なにもかも。
音楽を聴いても入ってこない。
言葉を綴ってもほどけて褪せていく。温め直した不味い珈琲。
全部、僕にお似合いだって誰かが嗤う。
――そんな風に今日を生きている。
可惜 夜-Atarai Yoru-
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