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【第二の人生】42の章:実は萬里にはとんでもない妹が居たのです

*登場人物*

  • 萬里→主人公の主婦。お役目持ってるから頑張って修行してるけど、ほぼ怒りが原動力という、導く側の人間としては致命的。

  • 実妹(キヨ)→萬里の妹。現在かれこれ13年程行方不明。キヨって名前だけど、ほぼ「オマエ」呼ばわり。

  • 妹旦那→元暴走族。実家を勝手に家出したキヨと萬里の家に転がり込んできた前歴あり。萬里のことだけは怖いと思っている。


『浮遊』世間の言うところの
『幽体離脱』
これがこれから当たり前の日常になる。

あれだけ嫌だった浮遊だけど
実は子供の頃からやってたと言うのなら、
今更どうしようもない。

自分が何をやっているのかを
全て記憶していることは少ないから、
構えるほどのことはなかった。

だけど毎朝起きた時に身体中が
筋肉痛になっている事がかなり苦痛。

それでもお役目の為の日常は
向こうからやってくる。

お盆は萬里の周りが
線香の香りに包まれた。

身内の方々が近くに居ると、
必ずその人の懐かしい香りと
線香の香りでなぜか安心感と
気持ちが穏やかになれる。

いつも気にかけてくれてありがとう
という気持ちだ。

そしてもう一人、
忘れられないはずだけど
時々忘れてしまっている亡き人がいる。

それは、
行方不明の実の妹が生んだ2人目の子供。

これもまた10数年前の事、(2024年時点で20年経過)
当時、結婚していた妹が外に男を作り、
長女とまだ1歳にもならない次女を連れて家出した。

この時、うちの両親と妹は絶縁状態で
萬里がちょくちょく様子見ながら
面倒を見ていたので、
家出したその日に妹の旦那からすぐに
相談と行き先の心当たりがないか電話があった。

思い当るところは全部問い合わせたが、
浮気相手の男が何者で
どこに住んでいるのかは誰も知らない。

妹旦那は仕事を休んで駆け回り探していた。

やみくもに探しても
見つからないだろうと思っていたが、
病院からの電話で不意に見つかったと
連絡があった。

萬里「病院って、なにごと?!」

妹の事で、
病院や警察から呼び出されることは
今まで何度もあった。

どうせまた妹が何かつまらんことやらかして
勝手に騒いだんだと思った。

妹旦那の話は、
「次女が意識不明なんです!」

萬里「は?なんで?」

妹旦那「男の家で風船を
飲み込んだらしくて呼吸が止まって、
気付いたのも救急車の到着も遅くて
脳死状態に・・・。」

急いで病院へ向かった、
それは春日市だった。

もちろん、到着してソッコー
妹を怒鳴りあげた。
こうやって萬里は今まで何度も
病院で妹を怒鳴っている。

そして、
どうしてこんなことになったのか
説明を求めた。

妹「昨日、
萎んだ風船を飲み込んでたみたいで・・・。
飲んだその日はなんともなくて
気付いてなくて、
今日の朝急に呼吸が止まって
慌てて救急車呼んだ。
飲み込んで一旦胃に入ったのが、
何かの拍子に気管に上がったみたいで・・・。
救急車が来るのに時間かかって
脳死状態に・・・。」

萬里「お前が自分の事しか考えんで
ふざけたことするけんやろうが!!!
救急車のせいにしよるが、
どうせお前が気付くの遅れただけやろう!!
ちゃんと見てなかったんやろうが!!
お前の責任たい!どげん償うとか!!!」

妹「ごめんなさい・・・。」

萬里「謝って済むことじゃなかろうが!
お前は母親として失格や!
お前に子供産む権利は無い!」

もう怒りが納まらず爆発した。

すると意外にも、
元暴走族の妹旦那が
萬里をなだめに割り込んできた。

妹旦那「こうなったのは俺にも
原因と責任があります、
お姉ちゃんが怒るのもわかります。
いつも迷惑かけて本当にすいません。
でも、今は娘の事考えないと・・・。」

ロクに挨拶もできず、
常識のなかった妹旦那は少し成長していた。

萬里「よかけん、
グズグズ言い訳せんで
とにかく次女に会わせろ!!!」

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