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NHK ザ・ベストテレビ2023 第4部 芸術祭賞「正義の行方~飯塚事件30年後の迷宮~」→この番組は本当にひどい

NHK ザ・ベストテレビ2023 第4部 芸術祭賞「正義の行方~飯塚事件30年後の迷宮~」を観た。
警察や検察による杜撰な捜査を取り上げ、この事件は冤罪なのでは?と思わせる内容。

興味を持って事件を調べてみたら本当にひどい。
なにがって、この番組の印象操作が。
こんな番組を放送するだけでなく省庁が賞まで与えてしまっていいものか。

番組では、警察による証言の取得時に誘導があった、証拠の捏造があった、DNA型鑑定が恣意的におこなわれた、DNA型鑑定に関して権力者(警察庁長官)から圧力があった等の点を匂わせているが、死刑囚に不利となる事項について取り上げていない点は問題だろう。

番組では、遺体発見現場に残された犯人の血痕と死刑囚の毛髪のDNA型が一致したとする鑑定結果に疑いがある点が強調されている。
一方、死刑囚の所有する車内から発見された血痕が被害女児のものと一致した点、被害女児が失禁しており車内から尿痕が発見された点について触れていない。

また、なぜ現場に犯人の血痕が残っていたのかについても取り上げていない。
犯人の血痕は遺体の膣に付着していた。
通常、腟に男性の血が付着することはないが、当時死刑囚は亀頭包皮炎に罹患しており陰部から出血する可能性があったとされている。

番組では複数の警察OBにインタビューをおこなっている。
その中で「無理な操作をした...」といった発言もある。
それを含めてインタビュー側に乗せられてうまく喋らされたなという印象を持った。

また、番組に複数の弁護士が登場するが、この事件は日弁連が支援している再審事件に含まれていない。
何か理由があるのだろうか。
公平・客観的にこの事件の判決がおかしいのであれば、この事件も支援対象に含まれるのでないか。
(日弁連のホームページにおいて、「死刑廃止を考える」という項目の中で、本事件について冤罪の疑いが強い旨記載されてはいる)

番組終了後、あるコメンテーターは「冤罪だなと思いながら観ました」、別のコメンテーターは「いい作品で嫉妬する、完璧です、圧巻」などと言っていた。
彼らは一次資料に少しでも目を通したのだろうか?
番組のコメンテーターだからその必要はないというのか?

この番組だけを観た人は事件について誤解するだろう。
興味があれば、私の文章を鵜呑みにせず裁判資料等を自身の目で確認してほしい。

私は警察も検察も裁判所も十分に信用してはいない。
この事件についても捜査に杜撰な点はあったのだろうと思う。
ただし、それとは別にこの番組の作りはひどすぎる。

繰り返しになるが、番組では冤罪の可能性を匂わせておきながら、死刑囚に不利となる事項については触れていない。

あえて触れていないのであれば、番組制作者の都合のいいように情報を切り取って印象操作をしていることになるし、それらの事項を知らなかったというのであれば取材不足もいいところだ。

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