ダブルベッド
わたしはホテルの部屋が大好きだ。
これぞまさに必要十分。
コンパクトで無駄がなく、
それでいて照明なんかが駆使されて、癒しの空間が生みだされる。
シンプルな中にいると、自分もシンプルになれる気がする。
" 余分 " がない状態に洗練されるわたしのココロ。
和モダンと北欧テイストがかけ合わさったその部屋には
木のぬくもりがあってすごく優しい空間だった。
家ではいつも布団を敷いて寝ているからこそ
久しぶりのベットは最高のご褒美だ。
それもダブルベッドだなんて!
わたしの心とは裏腹に、腹の虫がグググゥと鳴った。
ここら辺に食べるところあったかな・・・
スマートフォンで検索してみたがうまくヒットしない。
きっと探しかたがいけないのだ。
諦めて外を歩いてみる。
夜道に小道は、気がすすまない。
明るくて大きな通りをひたすら進んだ。
しかしこれが誤りだった。
大きな道には大きな建物がたくさんあり、
それらは大抵が「食べもの屋」ではない。
どうしよう・・・
空腹に耐えかねたわたしは、冒険心なんてすっかり忘れ、
以前行ったことのある、とある建物を目指した。
『新風館』
現在のKITTEを設計したことでも知られる近代モダニズムの先駆者・吉田鉄郎氏によって設計された旧京都中央郵便局。
そこをイギリスの建築家リチャード・ロジャースが手がけ、新しく生まれた商業施設なんだそう。
" 京都に新しい風を吹かせたい "という想いが込められた『新風館』である。
これからの時代を感じさせるその名前に妙に好きた。
そよ風が気持ちよい中庭を抜けて、ご飯やさんを探した。
そして出会った『本と野菜OyOy』。
中をのぞくとひとりの男性が本を読みながら食事をしてた。
その後ろには野菜と本がある。
なんだか面白そう。
京都の野菜を使った「やきそば」を注文した。
茹でたての太麺が酸味の強めなソースによく絡む。
京都の野菜が空腹にポンポンと入っていくl
ペロリとやきそばを平らげた。
人間というのは、まんぷくになると周囲への気配りがうまれるらしい。
ちょっとした路地にある、ちょっとしたものに、ふと足がとまる。
虫の音が心地よい。
帰りはゆっくりと、夜風を感じながら歩いた。
途中で水を買おうと寄ったコンビニ。
気づけばインスタントの味噌汁もお買い上げ。
いつもとちょっと違う夜は、あっという間に過ぎてゆく。
部屋にもどり、湯船に浸かり、金曜日という汗をジャーっと流す。
今夜は好きな俳優さんのドラマがスタートする。
ダブルベッドに寝転んでテレビを見ながら、お味噌汁を夜食にすすった。
最初は、「ひとりでダブルベッドって、なんだかちょっと寂しい気持ちになるかな?」なんて思っていた。
けれどそんな瞬間はいっときもなく、
好きなことをして過ごすダブルベッドの上は、このうえなく至福のひとときであった。
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〈ご紹介〉
○ 本日のお宿 Rakuro
https://www.thesharehotels.com/rakuro/
○ 今夜のお食事処 新風館・本と野菜OyOy
https://shinpuhkan.jp
https://oyoy.kyoto
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