人間は猫を見習うべきだ
「猫だけが見える人間法則」
佐藤優
2024年8月10日 第1刷発行
Hanada新書
タイトルに惹かれて購入。
猫4匹が飼い主を含めた人間たちを観察して語り合う。
「月間Hanada」の2016年6月号から2024年2月号に連載されたコラムをテーマ別に取捨選択して加筆したもの。
元外務省主任分析官で著書多数。
『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』が有名で漫画もある。
数年前に文化放送の朝の番組に月1のコメンテーターで出演していて知った。
読んだ本は『サバイバル宗教論』と『読書の技法』くらいで詳しくないけれど。
「飼い主」はプロテスタントのキリスト教徒で、病気で生死を彷徨って回復した時、まだこの世の中でやるべき事があると神が考えているので今回は命を残してくれた、と考えたそうだ。それで論壇の主流からずれたことを書いている、と猫が言っている。
「飼い主」は基本的に神がかりの人なのだと。
私は「飼い主」の主流派から外れた主張に賛成するところと反対のところがあった。
第1章 インテリジェンスの人間法則
第2章 宗教の人間法則
第3章 外交の人間法則
第4章 共産党の人間法則
第5章 独裁者の人間法則
第6章 組織の人間法則
第7章 民主主義の人間法則
第8章 教育の人間法則
ロシア大統領府公式HPからの引用が多い。日本の新聞だけを信じてはいけないと。
ぼんやりとしか分からなかったウクライナ戦争やイスラエルとハマスの戦争の原因が、分かり易く書いてある。
ロシアに詳しいがプーチンに味方と言うわけではなく客観的。ロシアの国自体は好きなんだと思う。私もロシア文学は好き。欧米は文化をも否定する「ロシア憎悪」が拡大しているそうだ。
「飼い主」は500日以上拘置所にいた。事件に巻き込まれていなければ、職業作家になることはなかった、とあり「人質司法」の後進性についても書いている。
一般の日本人は平和の中で生きているが、テロとの戦いに軍事支援を行っていなくても、人道支援や資金援助だけでも、ISなどから狙われる可能性があると言うのは恐かった。
外交の裏話も多い。
北方領土の事や安倍政権の事も。
民主主義には「フランス•アメリカ•イギリス型」「ドイツ•日本型」「ロシア型」の3つの類型があると言うのも面白かった。
ロシア人は国家を信用していない。国家には頼らず助け合う。親族や友人だけではなく、苦しんでいる人にはできる範囲で手を貸す。
日本人は家族や社員などは支援するが、非正規職員や一人親家庭、失業者などに冷たい。
第8章の中に「新科目『歴史総合』『地理総合』は社会人も学べ」とあるが、社会人になってからの方が必要だと今更思う。
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