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職員室における「組織開発」の探究の道のり

教員6年目の今年度は、クラスづくり(学級経営)はもちろんですが、とあることがきっかけで職員室づくり(働き方改革の文脈が大きいですが、この記事では「組織開発」と表現させていただきます)にも興味関心が広がってきています。詳しくは過去に以下の記事でもお伝えしていましたが、そこから詳細についてお伝えできないまま半年が過ぎていました。

今回の記事では、今年度取り組んできたこと、その成果と課題について自分のための整理も含めて、お伝えできる範囲で書いていこうと思います。

1.「組織開発」の探究のはじまり

そもそも、なぜ私が「組織開発」に興味を持ち始めたのかを説明する必要がありそうです。

私が勤務している小学校では、昨年度から「働き方改革プロジェクト」が始動していました。異動1年目だった私は、プロジェクト立ち上げのアンケートで「お菓子が食べられるのであれば頑張ります。」という選択肢を選び、参加の意思を表明しましたが、思っていたよりも多くの参加希望者がいたようでプロジェクトへの参加は叶いませんでした。

結果として、プロジェクトの動きを外から見ることになったのですが、プロジェクトで主に取り組まれていたことは職員室の環境改善について。
記憶にある取り組みとしては、講師の先生方が自由に座ることができるフリーアドレスの長机を導入したり、職員全体で学年棚、資料棚を整理したりということがありました。

ちょうどその頃、私はというと、Leaning Creater's Lab(以下、LCL)というプログラムを受講していて、「変えたいと思っている学校の常識がなかなか変わらないのはなぜか」という問いを持っていました。
プロジェクトチームのメンバーと共に、「自己変革から組織を動かす冒険ストーリー」をテーマとしたスゴロクを作り、自分が働く職員室に目を向ける機会が多くなっていたのです。

その様子を働き方改革プロジェクトのリーダーに定期的にシェアしていたこともあり、今年度は新たなメンバーを募集しないつもりだったらしいのですが、私だけメンバーとして入れてもらえることになりました。

始動したはいいけれど、自分がプロジェクトリーダーなわけでもない状況でどのようにプロジェクトに関わり、推進させればいいのか悩んでいた頃。
先述したLCLで同じプロジェクトチームだった方に「先生のマイプロジェクト」への参加を勧めていただきました。

自分の中で参加を即決し、プロジェクトメンバーや管理職にも趣旨を説明して正式に参加することに。
8月の軽井沢合宿から始まり、月一の定例会や週一の自由参加ミーティング(土曜の朝6時から。今のところ寝坊して不参加のことの方が多いのですが…)を通して、いろんな先生方の表に見えている実践だけでなく、そこに至るまでのプロセスや想いにも触れることができています

2.ビジョンの策定、プロジェクトベースへ

プロジェクトの推進のためにと、最初に取り組んだのが「ビジョンの策定」でした。もともと昨年度から動いていたプロジェクトが4月から正式に分掌として位置付けられたこともあり、リーダーからは一般企業の事例をもとに、どんなビジョンで活動していくかという話は上がっていました。

話し合いを通して、プロジェクトメンバー(6名)それぞれの思いを共有したことで方向性が見えてきましたが、きちんと言語化できていないという状態。
夏休み明けに「もう一度ビジョンについて、話し合いたいんですけど…」と切り出し、Jamboardを使ってメンバーの思いを出し合いました。

その時に用意した問いは以下の3つ。

1.これまでの活動で一番効果があった(やりがいがあった)と感じたことは何ですか。
2.プロジェクトの活動を今よりも活発にするためにはどんなこと(もの・ひと)が必要だと思いますか?
3.「誰でも気持ちよく働ける」が達成された時、職員室ではどんな姿やコミュニケーションが見られていそうですか?

その結果、職員室の環境整備を中心とした、いわゆる業務改善だけでなく、学校の組織文化や人と人との関係性といったこともよりよくしていきたいという思いがメンバーの口から出てきました。
それらの思いや取り組みの方針を描いてみたのが下のもの。メンバーだけでなく、他の職員にも知ってもらえればという思いで「プロジェクト通信」を発行し、文章とともに共有しました。

その後、取り組みを加速させたいという思いから、それまでメンバー全員で取り組めるタスクを炙り出し、担当を決めるというタスクベースの動きから、取り組みの3つの方向性を意識したより細かいプロジェクトを立ち上げることを提案しました。下の画像は「ICTを活用した業務改善」を意識したもの。

この辺りまでの流れは、現在、外部から学校の組織開発に取り組まれている尊敬する方の取り組みを参考にさせて(パクらせて)いただきました。

3.長く険しい航海

そうして学”校改”革という大きな航海に出てみたのですが、実際に冒険することで得られる経験値はこれまでとは比にならないと感じています。

プロジェクトチームとして取り組んだことは小さなことかもしれませんが、以下のようなことが挙げられます。

【職員室の環境改善】
・誰のかわからないものが散乱している冷蔵庫を片付けた。
・いつのまにか机に置かれたり、職員室アシスタントさんが教室を回ったりしていた配布プリントを入れるアレンジャーを導入した。
・職員室内の整理整頓(特に気づいたら物が置かれている学年棚の上を定期的に片付けた)

【ICTを使った業務改善】
・Googleカレンダーを活用し、予定や締め切りのあるタスクを中心に共有した。
・共有フォルダを整理し、授業で使った教材等をできるだけ入れてもらうようにした。
・学校用グループウェアの掲示板の投稿ルールを定め、後から検索しやすく、締切などもわかりやすいようにした。

【対話の場づくり】
・職員でのバドミントン大会やレク大会を実施した。
・委員会による働き方に関するアンケートを依頼し、困り感を吸い上げようとした。

取り組みによってどれだけ働きやすくなったかは分かりませんが、プロジェクトメンバーだけでなく、職員間で「働き方」について話が増えてきていることも一つの成果と言えそうです。

もちろん上手くいくことばかりではありませんでした。情報をきちんと共有できていなかったことで懐疑的な目で見られてしまったり、取り組みに対して理解が得られなかったりということがありました。

また、「学校の組織文化」や「人と人との関係性」をよりよくしたいという思いが、今の組織、人に対してリスペクトの欠けた形で伝わってしまうということもありました。

その辺り、もっとプロジェクトから情報を発信したり、あくまで「よりよくしたいんだ」という思いをリスペクトを込めながら伝えたりしていく必要がありそうです。

4.風を読み、波に乗るには

「航海」というメタファーを用いたことで、起きることを捉える表現もそれに寄せられた気がしています。

追い風が来るのを読み、適切に帆を張ることができれば推進力を得られます。
しかし、大事なのは向かい風が吹いたとき。
なかなか推進力を得ることができないなぁと思っていた時期に、たまたまCULTIBASEというメディアのイベントで見かけた「帆船が動くメカニズム」がしっくりきたのを覚えています。

きっと、最短距離で「みんなが気持ちよく働ける職場」に辿り着こうとしていたのですが、もちろんそんな簡単なものではなく、数年単位で考えることが必要。

自分の性格上、ワンピースでいうところのルフィのような存在ではないので、ナミ(航海士)のように天候(状況)を感じながら進むべき道を提案し、ジンベエ(操舵手)の役割まで担えるといいのではないかと思っています。

いずれにしても、関わる全ての人、そして組織に対するリスペクトがないと上手く航海することはできません。
(この記事も、あくまで今の職場をよりよくしたいという思いで書いているのであって、今の職場の現状に対する不満ではないことを断っておきます。)

今回、実際に組織に対して働きかけようと動いてみることで、自分自身得られることがたくさんありました。これからも長い旅は続いていきそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


参考にしている書籍は記事のヘッダーにもしたこちら。多くの気づきを与えてくれています。

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