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2歳の女の子にサンタさんは振り回される
私の夢の一つはサンタさんになることだった。
そんな私は11月の頭からずっとそわそわしていた。
長女が2歳8ヶ月を迎え、「いい子にしているとクリスマスの夜にサンタさんが枕元にプレゼントを置いてくれる」ということを認識し始めた最初のクリスマス。
クリスマス関連の絵本も読んだし、「クリスマスってなぁに」も読んで徐々にクリスマスへの熱をあげていく。街中で見るサンタクロースやブーツのお菓子、もみの木を見ては「クリスマス綺麗ね〜」等と言っている。
そしてついに、夜お布団の中で早々に探りを入れた。
「サンタさんにプレゼント何お願いするの?」
「えっとねぇ、ぶどうと〜、バナナと〜、みかんと〜、アイスクリンと〜、ぶどう!」(アイスクリームのことを彼女はアイスクリンと呼ぶ)
全部食べ物
1個という概念はないしぶどうは2房
アイスクリーム溶けるぞ
突っ込みどころ満載の可愛いお願いに吹き出しそうになったが、彼女は本気だ。いくら2歳児でも人の本気を笑ったりしてはいけない。
「そうなんだね、そんなに沢山は難しいと思うけど、どれかサンタさんくれるといいね。」
「うん!」
という最大限当たり障りのない会話をして終了した。
適当に言っていると思われて、案外ちゃんと覚えていたりするのが子供の怖いところ。思いがけず指摘されたりもするものなので、果物を必死で頭の中で唱えながら寝かし付けた。
とは言えまだ2歳、欲しいものも変わってくるだろうとしばらくしてまた聞いてみた。
「バナナとリンゴとみかんとアイスクリンだよ?」
こいつ何言ってるの?当たり前でしょ?とでも言いたそうなトーンで返事が来た。前回と果物が入れ替わっている。やっぱりうる覚えだったようだ。
こうして聞く度に少しずつ果物が入れ替わりながら、最終的に「バナナとみかんとフルーツとアイスクリン」で落ち着いてきた。バナナもみかんもフルーツだよ。
やっぱりサンタさんとしてはせっかくなんだから消え物じゃないのをあげたいのだけど、基本的に私のスタンスは子供が欲しいと思っている物をあげたい。
お願いしていた物と違うのがきたらそれはそれでサンタさんへの不信感になりそうだとも思う。
アイスクリームは引換券でいいのだろうか。
あぁ、でもきっと保育園でサンタさんが来た話をするんだろう。
その時に少し端折って「サンタさんねー、みかんとバナナくれたよ」なんて言われでもしたらちょっとサンタさん可哀想じゃないですかね。
そう悩んでいた後日。
カメラに興味を示したのをきっかけに「サンタさんにカメラお願いしたら?」と提案すると「うん!カメラお願いする!」と見事に乗ってくれた。
その間にすかさずネットで注文。
気が変わっては大変と、何かあれば「サンタさんにカメラお願いするんだよね〜」と私も言ったし、娘も「いい子でねんねするとサンタさんカメラくれるのよ。」と言いながらここまで来た。しかし私も気が緩みしばらくカメラの話をしていなかった。
友人に「サンタさんに何お願いするの?」と聞かれた娘。「バナナとみかんとフルーツとアイスクリン」に戻っていた。しかもちゃんと前回と同じメンバーだ。
困った。
サンタさんは既に用意している。カメラは親からということにしてもいいし、2歳のクリスマスの思い出がフルーツとアイスでも面白いかもしれないと思うようになってきた。
こうしてサンタさんは振り回される。
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