40代で詳細設計から単体テストの「おっさん」の話
最近よく「おっさん」の話を耳にします。
及川さん、澤さんもこんな記事を書いていました。
なんか、自分の観測範囲内だけかもしれませんが、最近これ系の話が増えてきた気がするんですよね。ちなみにおっさん話で言えば、8年前にホリエモンが出した「君がオヤジになる前に」が記憶にあります。
「おっさん」とはつまり「思考停止」した人ってことだと思います。
そんなことを考えていると、ふと昔に会った「おっさん」のことを思い出しました。
絶対にこうはなりたくないと思った「おっさん」
昔SIerにいた頃の話。とあるプロジェクトで開発メンバーが足りず、外部のパートナーさんに手伝ってもらうことになりました。
その時はJavaエンジニアを探していて、上司と一緒に顔合わせに同席しました。たしか4人位お会いしたと思います。みなさんだいたい40歳前後だったんですね。
どんなことやってきましたか?という話をする中で、みなさん「詳細設計〜単体テスト」ができます!と言うんです。僕からすると「So What?」なわけです。本当にみんな同じようなことしか言いません。
SIerを経験していないとあまりピンとこないかもしれませんが、「詳細設計〜単体テスト」というのは一番人手が必要な部分なんですね。つまり、このときだけ呼ばれて、終わったらさようなら、を繰り返しているということです。
なぜ「詳細設計〜単体テスト」だけなのか。それはその枠から抜け出せなかったから。「詳細設計〜単体テスト」しかやってきていないので基本設計をやらせてもらえません。経験がないので次の現場でもできません。負のループ。まさにラットレース。
そして「詳細設計〜単体テスト」の本当のヤバさは、自分が何を作っていて、それがどう運用されるか見ることができないことなんです。つまりいつまで経っても全体感がわからないのです。自分が実装したものが良かったかどうかすらわからない。ふりかえり出来ないのです。
僕もそんな環境にいたので全体感がわからないことにかなり危機感を覚えていて、こんなことならもっと小さい会社で人がいなくて稼働時間がやばいことになっていても全部一人でやらなければいけない環境にいたほうが良かったかなと思ったこともあります。
まぁ、結局当時は転職はしなかったんですが、なるべく丸っと任せてもらえる様な案件を見つけては、それやります!って言って足りない経験を補っていきました。
ちなみに、僕は当時28歳くらいだったので、先程の「おっさん」は一回りも上な先輩たちなんですよね。僕はかなり平均的なエンジニアだったと思うので、自分のスキルが高いとかは微塵も思っていなかったです。なので、結構ピュアに経験を積んだエンジニアはどんなものなんだろう?と期待していたのもあります。
それが、もうなんか恐ろしくなってしまって。。最初はたまたま外れたのかな?と思ったのですが、顔合わせを重ねる度にその不安は確信へと変わっていきました。なんだか、背筋がゾクッとしたのを今でも覚えています。そして強くこう思いました。
後から考えると、その時のエージェントとか単価やらで、他で余ってる(失礼!)人たちがたまたま来てしまっただけなのかもしれません。ただ、僕としてはあのタイミングでこの体験が出来て本当に良かったなと思っています。そういう意味では本当に感謝でしかないです。
SIerで抱いた危機感
SIerが悪いとかそういうことではないです。ただ、当時は分からなかったのですが、今考えるとなかなか不思議な仕事はありました。
不安にもなりますよね。今となってはいい経験&いいネタなんですけど、現場変わるたびに扱う技術変わるは、一緒に働く人変わるはでなかなか深く身につくものもなかったり。
そんな危機感を感じつつ、元々シャイな性格だったりもあって誰に相談するわけでもなく、もやもやしてました。
でも危機感を持ち続けること。考えることだけはやめなかったんですね。
「おっさん」にならないためにやっていたこと
そこで何をしたかというと、本を読みまくりました。いや、正確には買いまくりました。読んでないのもたくさんある。10冊買ったら2,3冊は読むだろう、くらいの感覚で。
ひどい時はほぼ毎日1冊以上買ってた。まぁそれでも年間100万いくかどうかくらい。ちょうど勝間和代さんとかが出てきた頃で勉強ブームとも重なってましたね。
ちなみに僕は元々活字が大の苦手なのですが、この本に出会ってから読めるようになりました。
次に勉強会に行くようになりました。本当にそんなキャラじゃなかったですし、知らない人と話すとかほんと無理だった次期。今もあまり得意ではないんですけど。昔よりちょっとはマシになったかな。
僕が人生で初めて行った勉強会はこれです。勉強会というか、サミットだったんですけど。2009年5月23日ですね。
今見ても登壇メンバーがほんと豪華です。当時はぎりぎり、ひがさん、弾さんを知ってたくらいかな。ひがさんはJavaで、弾さんはブログの書評で。
今でも覚えているのが、閑歳さんが「今日はこれから結婚式があるのでこんな恰好なんですー」って言ってたり、山崎さんが弾さんに「BSD好きですよねー、あれあの後めっちゃ大変だったんですよ!」って言ってたりとか、弾さんは結局何話してるのかわからなかったりとか、米林さんは「(エンジニアの)体力ってどうやって付けたんですか?」って質問に「バスケですかねw」って答えてたりとか。
技術的な話は、、、なんかあったかな。覚えてない。。
おー、なんと動画が残ってました。
そんな感じでこれを皮切りに色んな勉強会に顔出すようになりました。一番多かったのは appengine ja night。超懐かしい。
それからだんだんと社内でも勉強会やったりとか、興味ある人を外の勉強会に連れてってみたりとか。
あとは、本の話に戻っちゃいますけど、社内メールでグループ作って本のおすすめをしてみたりとか。
正直人に見せられるようなプロダクトは全然作れて無くて、これは個人的に超課題。。まぁ出来ない人なりに常に考えて牛歩並みですけど前進してきたんじゃないかなと。
僕ももう35歳で定年になりまして、これからどうしようかなーと考えることもあるんですね。正直悪くないお給料で、今だけを考えるとまぁ勉強しなくてもなんとかなってしまう。これはこれでまた危機感感じてるところです。
将来に対する不安
正直この業界でロールモデルなんていないんですね。じゃあ将来不安かいうと実はそんなことなかったりします。漠然とですけど、危機感感じれてるうちは大丈夫かなと。
僕は何かに超優れてるとか無いと思ってて、ただ考えることをやめたことはないし、これからも考え続けると思うんです。思考停止だけは絶対にしない。「おっさん」にだけは絶対にならない。
あと、僕は運がめちゃくちゃ良いのできっとどうにかなるだろう、ってのもあります。
まず、スタートがですね、大学も行ってなくてフリーターしてたんですけど、なんとなく就職しなきゃなーって思ったときにSIer未経験募集がちょうどあって、お、なんか表参道でガラス張りでおしゃれだぞって思って面接に行ったら受かったので。その前に他も受けましたけど、3社目くらいでした。
なので僕は自分が運が良いというのは常日頃から言ってるんですけど、運て実は小さな選択の積み重ねだと思うんですよね。これはまた別で書いてみようかなと思います。
終わりに
久しぶりにめっちゃ長文書いてしまいました。最近自分の棚卸しをやっているからかもしれません。僕はしがないただのエンジニアなんですけど、それでもやっぱりそれなりに考えてやってきたんだな、っていうのを再認識できてよかったです。
本を読むたびに思うんです。この人こんなに色んな人生経験していてすごいなーと。そして自分と比べて凹んだりするわけです。でも、どんな人でも人生ちゃんと振り返ってみると頑張ってきたこととか、おもしろネタとか絶対あると思うんですね。
僕は今回この記事を書いていて、SIerネタこんなにあったんだ。自分めっちゃ面白いやん、て思いました。
とりあえず、何をするにしても考え続けてるうちは大丈夫なんじゃないかな。考えることをやめたとき、それは「おっさん」になります。
もちろん人それぞれなので、ゆっくりしたい人は「おっさん」になるのもありだと思います。
でも、僕はそれはまだいいかな、と。
正直めちゃくちゃ熱量あるわけではないです。でも考えることをやめず、好奇心を捨てず、自分を追い詰めすぎず、しなやかに生きていければいいなと思ってます。
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