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獣の子は眼も開かないまま生まれ出でて
柔い毛皮に身をつつみ
外の世界を信じてる

已己巳己に、春は道端のタンポポ
秋は車窓の稲穂がモフモフる
白むタンポポは新潟の雪を携えるようにして
黄金の稲穂は夏の太陽を携えるようにして
何も持たずに眠ったようにして
夢を見ながら風に運ばれ
上につくより下につき
こんがらがって根を生やす

先の曲がった鋭い爪
牙を剥いた裂ける口元
似ても似つかぬ毛皮には
もう土の匂いが染みついている

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