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今を生きているという奇跡
10年の歳月。
長いのか短いのか、まだ自分には分からない。
けれどもあの日の光景は忘れない。
今でも鮮明に覚えている。
目を瞑れば、とめどなく涙が流れる。
心が震える。
言葉にならない。
理不尽な現実は、いつも突然やってくる。
いつもの日常を一瞬で奪い去っていく。
恐怖と孤独に戦った魂は、一体どれほどの数だろうか。
往くべき処へ辿り着けているのだろうか。
何年経っても祈ることしかできない。
きっとこの先も、祈ることしかできない。
生かされた命だから祈る。
限りある命だから祈る。
生きているのは偶然じゃないと、自分に言い聞かせる。
なぜ生きているのか?
きっと答えはない。
答えはないから、考えるのをやめた。
朝、目が覚めるキセキ。
起きて、いつもの生活が始まるキセキ。
生きているのが、当たり前じゃないことを、あの日教わった。
少しだけ、誰かに優しくなれたかな。
合掌と感謝の日々をこれからも生きる。
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