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ビジョンセリングの弊害?!成熟SaaSエコシステムで感じる課題感と構造#SaaSLoversDay15

毎度お馴染み、SaaS愛と経験に溢れた皆様でお送りする
リレーブログ #SaaSLovers 15日目担当します。株式会社リゾルバ代表の佐伯(@yonyonsaeki)です。

Deep diveされている方々ばかりで、一般論や形式知に留まらない内容の記事ばかりなので是非こちらから気になる記事チェックしてみてください。

Abstract
僕の方からは、SaaS界隈では特に成熟の進んでいるSalesforceエコシステムでの経験を元に、成熟フェーズのSaaSビジネス観点、及びその中で活動するプレイヤーの観点で課題感を共有させて頂きます。
様々なSaaSへ、様々なカタチで絡む皆様の気づきになる部分があれば幸いです。

元ネタ上は沢山あるのですが3点ポイントピックアップしていきます。

1.繋がり/コミュニティの重要性
2.ロール間協業の機能不全ギャップへの対処
3.越境的なスキル/経験の獲得について

はじめに

簡単に自己紹介です。弊社リゾルバは
恐らく唯一"エコシステム支援"専業のSalesforceコンサルパートナ企業です。

広がり続ける市場において、ユーザ企業(買い手側)やプロダクトサービス/SI事業(売り手/作り手側)でもない形で双方が機能的に、継続的に機能するように課題解決にあたっています。

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"エコシステム"と呼べるほどに成熟したからこその課題を知ることは
この界隈のプラクティスを参考にする別のSaaSビジネスにもヒントになるものがあるのではと思っています。

1. エコシステムオーナーだからこそ出来ないことがある

概論として、やや抽象論から。いかに横の関係を作っていくか。

サブスクリプション、SaaSビジネスのゴールはカスタマーサクセスにあります。
お客様ごとのゴールに対して、各社、及び、その中の各ロールのメンバーが"部分的"にお客様への支援を担っていく訳ですので、共通のゴール意識をもちつつも、実務上自分がオーナーシップを持てる部分と持てない部分が出てきます。


ポジションの都合上、ゴールに向かって大事なことでも、そのロールを超えて手を出しにくいことは、いくらマインドがあったとしても存在します。
究極的には、最後はお客様、その中のご担当者様次第だな・・・と痛感します。

例えば、提供サービスにおいて問題が発生している場合、サービス提供オーナー(SaaS企業)は"公式"としての責任がある中で、不確実なワークアラウンドや仮説情報など、短期的で暫定的な対処を立場上取りづらかったりします。

また、当然ながら一部のユーザ企業やパートナ企業に肩入れすることも難しい事情はあり、社内の膨大なナレッジや情報をいかにエコシステム内でタイムリーに民主化していくかには悩む部分です。

そして、エコシステムはオーナーの手元から離れて成長する生き物なので、
本質的には、SaaS企業を中心に1対Nで支援関係をつくるよりも、有志のインフォーマルな繋がりや、サードパーティの技術/情報ソースなども含めた

"横のつながりをどう創っていくか"

Whyコミュニティ?の文脈にもなりますが
エコシステムに自律的な動きをつくるということで、これは社内でも社外(ユーザ企業/パートナ企業同士)でも同様に重要なテーマだなとつくづく。


2.ビジョンセリングの弊害?!ギャップを埋める重要性

セールス組織とプロセスの高度化が進む中で
ギャップの発生や、それを埋める難しさが目立ってきます。

お客様が悪くて・・・xxの対応がイケてなくて・・・と、責任転嫁のつもりではなく社内外に原因の議論が発展し、自分ごととして課題化が難しいケースが出てきます。

扱うSaaSサービスの特性にもよる部分ですが、
直販での営業、Enterprise市場の開拓や、Prodcutの統合拡充などの文脈で営業/提案の高度化は避けて通れません。
(前々回のSaaSLovers寄稿時にもプリセールス業務の文脈で触れました)

プロダクトセリングの時代と比較される形で、インサイトセリング/ビジョンセリングなどの手法が登場してきます。
僕はこんな図のイメージで捉えています。

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個人的には顧客ビジネスのどのレイヤーまで共感を持ち、課題化して対話をしていくか、の違いだと解釈しています。

解釈の正しささておき、
顧客のビジョン的ゴールまで踏み込んで対話を開始する提案となるので、
売り手側としても、商談においてディスカッション/リードする範囲は自社サービスのカバレッジを超えて広がります。

当然、ゴール部分の合意だけでは実行プランに落とせず夢物語になるのでプリセールスやパートナと協業してお客様内の推進体制の組成、その後の推進活動を支援していくことが重要になります。


売り手や作り手側としては、買い手への提案を通して、
・合意したビジョン
・そこにいたるロードマップ
・今回のPRJ位置付け
・お客様の推進体制とその関係性

などのコンテキストを揃えていく必要があります。しかし、それがきちんと引き継がれない場合、プロジェクト開始早々目線が合わずトラブルになり、軌道修正も限定的で、やむを得ず短期的な解決に着地しがちです。

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いかに実績のあるサービス/実績のある導入パートナだとしてもプロジェクトは難儀します。(上図)

ビジネスモデルやロールの違いからくるゴール意識の違いに加え、隣のプロセスへの解像度や共感の不足によって、構造的に&悪気なく発生します。


次の図の例ですが、アンチパターンと理想について。

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買い手/売り手のスタンスのままで買って頂くことに必死になると、主体性がいつまでもお客様側に移らず失敗しやすくなるケースです。
あくまでもゴールは効果がでるところ、まで。主体はお客様へ。
伴走型の支援が求められる背景もこのあたりです。

またこの時、ACVが立つSaaS営業上の目標地点は、導入パートナにとってはまだ売り上げも利益も約束されていないスタート地点のため、納品という地点に向けてリスクが残っている状態では、とても同じレベルで提案を理解し、熱意を持って進められません。

ここを分断させずに各社のゴールを揃えて協業する必要があります。

捉える課題も広がり続け、SaaS企業の組織やチームも大きくなり続けますのでビジョンやカルチャーなどでマインドセットを整えることだけでなく、協業先を含めた高度なアライアンスバリューチェーン全体のプロセス型化が必要になってきます。

3.ジョブ型専門家時代に、いかに越境的なスキルを獲得するか

THE MODEL型を参考にカスタマイズして組織にインストールしている企業も増えてきました。
みなさんは、SaaS企業における自己開発やキャリア形成については、どのように捉えていらっしゃるでしょうか?

縦割りと揶揄されることもありますが、高度専門化された組織の洗練されたプロセスと蓄積されたノウハウにより組織での育成も効率化されていくことと思います。

とはいえ、ロール別にヘッドカウントがつく頃になると、物理的にお互いのプロセスを教育/習得すること自体は段々と難しくなります。

例えば、業界未経験でプリセールスに配属された方は職務上、商談発掘も、導入プロジェクトの成功体験も、導入後の運用体験も物理的に経験が限定されます。知識ではインプットできても、解像度には限界がでます。

そのままでは、社外のユーザ企業の経営者や推進者、導入パートナ、社内のマーケやCSなどとうまく協業をデザイン出来るようになるのは難しいかもしれません。

■3つの習得アプローチで整理してみる
全体を習得する際に、どのように経験を獲得していくか、という3タイプのアプローチがあります。

上流から失敗や挫折を繰り返しながらも前に進む経験は、ハードながら身になるものですし(フォワード・チェイニング)
既にある程度カタチになっている状況から要領を掴んでいくのは右も左も分からないハードルは低くなります(バックワード)
また様々な場面の仕事を少しずつ手伝う中で全体の経験を獲得する方法もありでしょう(ランダム)

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(↓用語はこちらの書籍より引用。↓)

ロールが分かれると、物理的に別ロールの活動への解像度が下がってしまうので、成長のためのアプローチを選択し、機会をつくり、マネジメントしていくことが必要になっていきます。

私自身は、転職の過程で全体のプロセスをバックワーディングしたキャリア形成が財産になったと感じています。(約10年かかりました...)

他にも例えば、未成熟/カオスな組織の各チームの立ち上げ経験が得られた方も幅広くフォワーディングできた財産となる経験だと思います。

ただ今後は、このように長い業界経験と転職、カオスからの叩き上げを前提した習得だと時間がかかったりスケール出来ません。

今後若い方々が、SaaS業界に足を踏み入れていきます。
ロールありきでキャリアをスタートする方が増える中、いかに全体を抑え、本質的なスキルへ辿り着き、ハイパフォーマーまたはマネージャとなっていくか、エコシステムを支える人材開発の課題は尽きません。

社内のローテ/交換留学制度や実践的なロールプレイ研修、他社/他者との積極的なオーバーラップによる協業で疑似的なバックワーディングなどを用いながら習得していく必要があると感じています。

最後に

僕の経験より課題感と考える際の構造をピックアップさせていただきました。

私自身は、プリセ時代、ともすればデモ屋になり兼ねない危機感を感じ、浅いフェーズの案件も担当の営業さんを超える勢いで、プランニングに踏み込む機会を意識的につくってみたり

コミュニティ界隈の方と意識的に繋がりながら、自社だけで得られないユーザ企業様側やパートナ様側の知見や感情を吸収したりする中で、ペインの解像度を高めようと心がけてきましたが、

課題は次から次へとキリがなく、
カスタマーサクセスへの道は、なんともやりがいのあることだなと。

長くお読みいただきありがとうございます。
良い金曜日、週末をお過ごしください!


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