国際線
それはコロナが流行する前、韓国からの帰路。
ソウルで食べた韓国料理は最高だった。
店員さんが焼いてくれる「サムギョプサル」をサンチュで包み一気に口に頬張る。最高だ!
別の日は韓国の水炊き「タッカンマリ」に舌鼓をうつ。
席に着くや否や、タッカンマリの入った鍋がドカッと置かれた。この有無を言わさない姿勢が素晴らしい。食べ方がわからないので周辺を見渡しながら食べた。
そしてドーム型のサウナ、汗蒸幕(ハンジュンマク)でリフレッシュ、自分的には日本のサウナよりこちらの方が好みだ。
時間があればもっともっと韓国を楽しみたかったのだが、2泊3日の小旅行、残念だがもう日本に帰らなければならない。
韓国の仁川空港から日本へ飛ぶ。
搭乗のアナウンスがあり機内へ向かう。
「もっと滞在したかったな」
想像以上に楽しかった分だけ、機内での切なさもひとしおだった。
自分の搭乗券の番号で座席を確認し、座ってベルトを締める。
通路を挟んだ自席の斜め前が何やら賑やかだ。見ると二十歳くらいの女性たち、20人くらいの集団で搭乗していた。
東洋人だが韓国の女性ではなさそうだった。引率らしき人もいる。もしかしたら外国人技能実習生かもしれない。
彼女らの席上の荷物棚では荷物が入りきれず、CAさんが私の頭上の棚に入れて良いか聞いてきた。
「どうぞ」と私は言った。
機内は彼女らの声で賑やかだった。ただそれは迷惑な賑やかさではなく、皆が気にならないような、さりげない賑やかさだった。
しばらくして飛行機は日本の空港に着陸した。
駐機場に飛行機は停止し、安全ベルトのサインが消え、皆が荷物を降ろし、通路に行列をなしてドアが開くのを待っていた。
機内は混雑していた。
私も棚から荷物を降ろし、通路で並んでいると、私の頭上の棚に入れてたケースの持ち主の女性が反対の窓際側の席から 私に向かってケースを指差しながら話しかけてきた。
「オツカレサマデース オツカレサマデース」
察するにケースをとってください、ということなのだろう。
棚からケースを取り、彼女に渡した。
彼女は笑顔で言った。
「オツカレサマデース」
お疲れ様です、それは日本特有の万能な挨拶。今回の場面に使われるのが正しいかはさておき、日本で働くにあたり、初めて学ぶ言葉が「お疲れ様です」というのはある意味、的を得ている気がする。
来日するにあたり、どのくらいの日本語スキルが必要なのかはわからないが、外国人技能実習生で来日する人は優秀な人たちが選ばれると聞く。
これから色々学び、習得し、祖国へ戻り、大成してくれることだろう。
私は笑顔で返事した
「おつかれさま」
日本語が返ってきたことで彼女の笑顔は増した。
国際線、それは私のように旅行のため、あるいはビジネスのため、そして時として彼女たちのように異国に夢を抱き、その人だけではなく夢や希望も一緒に乗せて飛ぶ。
わずか2時間弱の国際線に、様々な「想い」も搭乗していることを知れたことは、もしかしたらこの旅で一番の収穫だったのかもしれない。
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