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日本らしいDXとは何か?


「DX」「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が日本で注目されて1年くらい経つでしょうか。この謎のビッグワードは徐々に具体的になりつつあります。

以前のnoteで「DXの正体」について書きましたが、

今回は欧米や中国から「周回遅れ」とよく言われている日本における、日本らしい、後発者としてのユニークなDXとは何か?について考えてみたいと思います。


それを考えるにあたって、まず初めに踏まえておかないといけないのは日本人の「平均年齢」です。


日本は言わずもがな、超高齢化社会です。

出典元や集計期間によってまちまちですが、日本の平均年齢は

全世界中2位の47.7歳

だそうです。

<日本の人口動態>

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一方、世界の平均年齢は30.9歳。

デジタル化が進んでいるアメリカと中国の平均年齢はそれぞれ37歳だそうです。

<世界の人口動態>

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何が言いたいかというと、日本は他国よりも高齢者(65歳以上)の割合が多く、また、その世代の方々がこれまでの日本経済の中心的役割を果たしていたことから、政府の政策や企業の顧客サービスの中心はどうしても高齢者向きなものが多くなってしまうのです。良い悪いではなく。

経済を回す中心となる世代、消費の中心となる世代、選挙権を含めた世論を形成する中心となる世代が日本は未だに高齢者なのです。

政府の要職も高齢者が多く、企業の経営層も高齢者が多い。

誤解を恐れず言えば日本は、

「高齢者の、高齢者による、高齢者のための国」

なのです。


なぜDXが進まないのか?の答えは明らかです。


高齢者の方々にとっては、これまでもこれからも生きていくうえでデジタルはそんなに必要ないのです。

今までのアナログなやり方に慣れ、成功体験が多くあります。

年齢に限らずデジタルなど新しいものに飛びつく人は一定数いますが、それはマイノリティです。

デジタルをベースにした事業とか、サービスとか、ミレニアル世代が普通の感覚で「それ、LINEでやりとりすれば良くない?」と思うようなことが、高齢者にはほぼ通じないのです。

おそらくデジタルだけでなく、ダイバーシティやカーボンニュートラルみたいな感覚も薄い人が大半だと思います。


一方、DXが進んでいるアメリカや中国では10年以上前から政治や経済の中心が30代~50代なのです。

アメリカでGoogleやAmazon、FacebookやApple、Microsoftやテスラが生まれ、それを人々が支持するのはごく当たり前の感覚なのです。

中国で政府による方針のもとにBaiduやAlibaba、TencentやHuaweiが生まれ、それを人々が日常生活の中で利用するのは当たり前の感覚なのです。

日本がDXで周回遅れになっている理由はシンプルに「高齢者が未だに主役だから」なのだろうと思います。


・・・しかしその日本も、ようやくDXの機運が上がってきました。


まず、何よりも政府による「デジタル庁」創設が大きな話題となりました。


先週、その中心人物である平井卓也デジタル改革担当大臣も登壇したデジタルシフトサミット2021ではこれからの日本のDXを考えるうえで非常に重要なキーワードが多く発信されました。

このセッションの中で平井大臣からは、

「覚悟を決めて、退路を断って、柔軟に、絶対にやり切る。」

という主旨の発言がありました。

また、具体的に「2022年までにすべての行政サービスをスマホで60秒以内に手続き完了できるようにする」という発言がありました。

これは、いよいよこれまでのお役所中心主義から、生活者中心主義へ移行する兆しです。

失敗を恐れず、アジャイルでどんどん進めていくという平井大臣のその感覚・姿勢・覚悟・実行力から日本の未来が良い方向に進む兆しと期待を感じることができました。


また、同セッションでは立教大学ビジネススクールの田中道昭教授と弊社代表の鉢嶺を交えて、「日本らしいDXとは何か?」について話が及びました。

そこで出たキーワードは「システム」・「プライバシー」・「セキュリティ」の三位一体というものでした。

これは私なりの解釈でいうと、DX後発者である日本が欧米や中国よりも後発者の利点を活かして、また日本人の良さを活かしてどうトランスフォーメーションしていくのが良いか?という視点で考えた時に、

・どの国のデジタルよりもホスピタリティに溢れ

・どの国のデジタルよりもわかりやすく

・どの国のデジタルよりも安心安全

であるべき、ということなんだと思います。

スピード感や大胆さ、効率の良さでは他国に及ばずとも上記の3つについては日本らしさが出せるのではないか?というものです。


このように、他国に遅れはしているもののようやく日本でもデジタル改革の兆し、世代交代の潮目が見えてきました。


政府が本気でDXに取り組むと決めた中、日本の企業はどうでしょうか?


田中道昭先生も言っていましたが、2022年までに行政サービスが生活者中心主義となり、生活者の利便性を最優先で考え、スマホ完結できるようにするのであれば、「あなたがどのような業種でどのような仕事をしていたとしても、2022年に行政サービス自体が一人ひとりの市民、国民とスマホでつながるように進化してくるなかで、あなたの会社も、そのタイミングでスマホで顧客とつながっていないと手遅れになりますよ!」ということです。


日本企業のDXにおいても重要になってくるのは「ホスピタリティ」、「わかりやすさ」、「安心安全」ではないかと思います。

また、平井大臣同様に生活者(≒顧客)を中心に置き、覚悟を決めて、退路を断って、柔軟に、絶対にやり切るということが必要になってくるのだと思います。


ちなみに私は1979年生まれの41歳で、バブル期~崩壊を経験した先輩方と、81年生まれ以降のミレニアル世代や、社会人になりたてのZ世代の「間の世代」です。


アナログの良さ、既得権益の築き上げてきた誇りやこだわりも十分に理解できます。

一方で、ミレニアル世代の持つ、より本質的なものや多様性を求める感覚、デジタルの便利さ、新しい価値づくりの面白さも十分に理解できます。

間の世代の人間として、アナログとデジタルをつなぎ、日本らしい・日本人らしいDXを推進していくことができればそれは自分にとっても幸せなことだと思います。

日本らしいDX。

これからの未来、シンプルに楽しみですね。勇気と期待が持てます。

私自身も改めて生活者(≒顧客)を中心に置き、覚悟を決めて、退路を断って、柔軟に、絶対にやり切りたいと思います。




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