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「なぜ技術ブログを書くのか?」をエンジニア、企業視点で考える

エンジニアは「技術ブログを積極的に書くべき」という主張をよく見かけます。実際、技術記事を書くエンジニアは多いですし、QiitaやZennのように技術ブログを書くことにフォーカスしたサービスもいくつか存在します。

ではエンジニアであればどんな人も必ず技術ブログを書くべきなのでしょうか?この記事では「なぜ、誰のために技術ブログを書くのか」をエンジニア(プレイヤー)側、企業側それぞれの視点で考えていきたいと思います。

技術ブログを書く理由

技術ブログを書く理由としては以下のような主張がよく挙げられます。

エンジニア(プレイヤー)視点

  • 学習内容を定着させるため

  • 学習や発信活動のモチベーションを高めるため

  • セルフブランディング(社内外からの評価)のため

  • 所属コミュニティへの貢献のため

  • 同じ課題に悩むエンジニアを助けるため

企業視点

  • 社内エンジニア評価のため

  • 採用マーケティングのため

  • 企業としてのブランディングのため

エンジニア視点で考えてみると、個人としての成長や社内外からの評価
が主要な理由となります。一方で企業視点では社内評価や採用、企業ブランディングが主要な理由となります。

記事じゃなくてもよくない?

技術ブログを書く理由について今一度考えてみると、技術ブログはあくまで情報発信のための手段の一つにすぎません。そのため、必ずしも記事としてのアウトプットにこだわる必要は無いように思えます。

SNSはもちろんのこと、最近ではYouTubeなどで技術系の情報発信をする方も増えてきています。「テキストベースの方が効率的だから記事の方がいいでしょ」という意見もあるかと思いますが、発信媒体は音声、動画といったように手段が多様化しています。また、生成AIによって手段毎の発信ハードルも下がっていくことが予想されます。

世代や個々人の特性によって、得意な領域で学習の定着やブランディングといった目的を達成できれば何の問題もないはずです。

誰のために技術ブログを書く?

誰のために技術ブログを書くのか?というと結局自分のため以外何ものでも無いと思います。
LTでも何でもそうですが、例え会社での活動だったとしてもアウトプットはやった本人が最も利益を享受できます。

自身のために行うアウトプットはプラスになるようなことはあっても、マイナスになることはほとんど無いはずです。

ですが、技術ブログ関連では個人から組織単位のレイヤーでの取り組みになると途端に様々な課題が発生しやすくなります。

企業としての活動は慎重に意思決定すべき

企業として技術ブログを積極的に取り組む際、継続的な活動が難しくなるケースを聞いたり、実際に経験したことがよくあります。

なぜ組織単位での取り組みでは課題が生じやすいのでしょうか?
それは本来個々人が自身のために行うことを組織単位で大なり、小なり強制するからです。

その際に抑えておきたいポイントが以下になります。

  • 社内での評価対象に組み込まれている(インセンティブがある)

  • 業務時間内に取り組める(必要業務としてみなされている)

  • 何のために書くのか目的が明示されている

少なくとも上記3つが仕組みとして整備され、そのためのコストをペイするだけの意味が組織になければ安易に取り入れるべきではないと思います。

経営レベルではなく、エンジニアチームで個々人の成長やちょっとしたブランディングのために取り組んで行こうというレベルではZennのPublicationやQiitaのOrganizationのように組織メンバーの投稿を集約できる機能を持ったサービスを活用するのがオススメです。アウトプットの資産は個々人が持ち運べる状態にして、あくまでモチベーション維持としての役割に留めておくのが良いでしょう。

企業として技術ブログに取り組むべきかの判断軸

エンジニアを抱える全てのIT企業が優秀な人材の獲得や営業活動のために必ず技術ブログに取り組まなければいけないかというとそんなことは無いはずです。それはなぜかというと技術ブログというのは経営視点でみると目的を達成するための戦術の一つに過ぎないからです。

企業の理念や目的、提供するサービス内容はそれぞれ異なります。そのため、各企業がヒト・モノ・カネといった経営資源に対して技術ブログがどのように作用するかを見極め、判断しなければいけません。

筆者の個人的な見解としては技術ブログは企業活動する上で必要条件であったとしても、十分条件になるケースはごく僅かな印象です。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事の中で最も伝えたかったことは「技術ブログ至上主義になるな」です。エンジニア個人だけでなく、企業としてもそれぞれにあった最適な戦術手段を見つけて実行しましょう。

本トピックに関しては様々な意見があって当然かと思います。あくまで一つの意見として参考にしていただけると幸いです。


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