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テストプレイで心折れないために2

ゲーム作家の米光一成です。「ぷよぷよ」「はぁって言うゲーム」「はっきよいゲーム」等々をつくりました。
「テストプレイで心折れないために2」です。

その1では、

「テストプレイでひどく言われて心が折れてしまう」というゲーム制作あるあるの悲劇を繰り返さないためにどうすればいいのか。
「最終段階のテストプレイをいきなりやる」という罠にハマってはいけない。「まだ未完成です」「まだ製作途中です」と事前に言っていても無駄。プレイする人はついつい完成品と比べて意見を言ってしまう。
最終段階のテストプレイとは何か、最終段階の前にどういうステップを踏んでテストプレイをすればいいのか?

ということを書いた。
詳しくは、↓を読んでください。

その2である。

*基本的にテーブルトップゲームを具体例に話を進めている。コンピュータゲーム等ので大きな違いがある場合は補足説明を入れた。

【4】テストプレイは3段階にわける

ひとまずテストプレイを3段階に分けて考えてみよう。そうすると、大きな悲劇をさけられる。
第1段階、動作チェック・テストプレイ。
第2段階、ブラッシュアップ・テストプレイ。
第3段階、最終段階テストプレイ。
以上の3段階だ。
それぞれ、「どのようなテストプレイなのか」「どういう場をセッティングして行えばいいのか」解説していく。

テストプレイ段階

【5】第1段階:動作チェック・テストプレイ

第1段階。動作チェックのテストプレイのステップ。

意見や感想をもらうためのテストプレイではなく「ただプレイに付き合ってもらう」のだ。
この段階では「ほんとうにルール通りにゲームがまわるか」「自分が想定しているように遊びが成立しているか」をチェックする。
脳内ではゲームがまわっていたけど、実際にやってみると「手数がめんどうすぎる」「熟練者しかプレイできないほどの難易度になってる」「覚える要素が多すぎた」なんてことはよく起こる。

この「動作チェックテストプレイ」で、実際にゲームとして回って、「自分が想定した面白さが実現できる」仕組みまでもってくること。

この段階で、あまり親しくない人にテストプレイを頼んではいけない。「テストプレイを頼む」と「(最終段階の)テストプレイ」になっちゃうからだ(「未完成だから」と言ってもそれはなかなか伝わらない)。

「テストプレイ」と呼ぶと誤解されるので、そう言わないほうがいいだろう。
ゲームが動作するかどうかつきあって」と言うべきで、そのためにも、本当に親しい友人なり、兄弟なり、親族なり、恋人なり、そういった人に「つきあってもらう」べきだ。

動作チェックのテストプレイなので、おもしろくないのは当然だ。ゲームの赤ん坊みたいな状態であり、まだまだ立って歩けやしない。何か言われても、「はい、もちろん。いまからグイグイ面白くしていので乞うご期待」と答えればOKだ。

*コンピュータゲームだと、「ゲームがまわるか」は自分でプレイして確認できるが、「自分が想定しているように遊びが成立しているか」は、やはり誰か他の人にプレイしてもらうほうがいい。

*この前の段階に「自分以外の人間の気持ちになって、ひとりでテストプレイしてみる」ステップがある。これは、また改めて。

【4】第2段階:ブラッシュアップ・テストプレイ

第2段階は、ブラッシュアップのためのテストプレイだ。
このステップは、テーブルトップゲームなら、マニュアルとコンポーネントができていること。
第1段階のテストプレイを繰り返して、マニュアルを作り上げて、すべてのカードやチップを制作しよう(カードをざっくりデザインしてプリントアウトしてスリーブに入れたものでいい)。

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*プリントアウトした紙を切ってスリーブに入れたカードとマニュアル。

コンピュータゲームなら、言い訳なしでROUND1が遊んでもらえる状態にしておくこと。
「ROUND1が遊んでもらえる状態」というのは、どのようなゲームなのか全体像が想像できて、この繰り返しでどんどん面白くなっていくのだろうなと思わせることができる状態だ。
「スコアはまだ入ってないけど」「本当はここでボスが出るんだけど」「セレクト画面はまだ使いづらいけど」といった言い訳はなしの状態にしよう。

この段階でも、相手の意見や感想はあまり気にしないでいい。プレイしている行動を観察すること。どこで戸惑うか、どう想定と違うプレイをするか、つまらなさそうにしたのはどのタイミングか。そういったことを観察して見つけるといい。(「テストプレイは行動の観察が重要」を参照のこと)

ゲームのことを話したり一緒にプレイしたことのある友達や、ゲーム制作で関わってる人に頼むのがいいだろう。いわば「気心のしれた仲間」に頼む段階だ。
気心のしれた仲間なら、ボロクソに言うこともないし、たとえ言われても「やりとり」ができる
この時点でも、あまり会ったことのない人や、外部の人に頼まない。外部の人が親切心から指摘してくれることが「ひどく言われた」と感じるし、どのように「やりとり」していいかが分からないので、言われたときに対処や対応できない。そうなると心が折れてしまう。

「気心のしれた仲間」からでも、ボロクソに言われるのがしんどいという人は、テストプレイ用紙を準備しよう。聞きたいポイントや評価など質問項目と書き込み欄のあるシートを渡す。

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*「あっかんべーゲーム」のマニュアルとテストプレイシート。(「あっかんべーゲーム」は、この後、試行錯誤を重ねて「はっきよいゲーム」として完成する)

「遊んでいるときはプレイに集中してもらって、意見や感想はプレイした後にこの用紙に書いてください」と伝えよう。
話し言葉で直接感情をぶつけられるより、書いた言葉のほうがダメージは少ない。テストプレイする人も、しゃべるよりは、書いたほうが、考えを冷静に整理して伝えやすい。

テストプレイ用紙の項目は、そのゲームに合ったものを考えよう。
ちなみに「あっかんべーゲーム」のテストプレイ用紙の項目はこんな感じだった。

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さて、ここまできて、次の最終段階のテストプレイに進める。

次回は、最終回「第3段階:最終段階テストプレイ」と「テストプレイの注意点」の予定。

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