見出し画像

「好きなものをゲームにする方法note版4」プレイコストを下げる

「好きなものをゲームにする方法note版」は、創作の基本的な原理と流れを、実戦形式で体験する講座をテキスト化したものです。

池袋コミュニティ・カレッジで開催された全6回のワークショップ「米光一成のゲームづくり道場」(2018年4月~9月)をベースに再構築しています。

今回はステップ4。

以前の回はこちら↓

では、ステップ4「プレイコストをさげる」スタート。

■ゲームづくりの3段階

いま、みなさんの状態は3レベルあると思います。

1:ゲームとしてまだ回らない
2:ゲームとして回らなくはないが、つまんない
3:ゲームとして回って、かつ面白い

面白い面白くないは各自判断のこと! 

ーー回らないってどういう状態ですか?

ルールを説明してやってみても、矛盾が生じたり、誰が勝ちかわかんない、みたいな状態のことです。

みなさんどの状態ですか? 手を挙げてね。
1が4人ぐらい。2が大多数、ボリュームゾーンね。3は……、えー皆無? 自信過剰な人いないの?

なので、いまからもうかんたんですよ。面白くしていくだけなんで。
つまんないとこをなくして、面白くなるとこを面白くすればいいだけなんで、やることとしてはかんたんです。

でも、ねえ。面白くなんないんだなあー、これが(笑)。ぼくもいま、作ってるやつが、ひとっつも面白くなんない。

というわけで、真っ白な紙を配ります。

画像1

■白紙を折る

では、いま作っているゲームをどんどんバージョンアップしていきましょう。
白紙の紙を使います。4×4マスになるように折ってください。

縦1列を1ターンにします。

作っているゲームを遊んでもらうときに、みんなにルールを説明するよね。
それをここに、箇条書きでまとめてもらいます。

■プレイコストを下げるとはどういうことか

ぼくが勝手に作った言葉に「プレイコストを下げる」というものがあります。
これはとても大切。
プレイコストっていうのは、プレイする大変さのこと、つまり「面白さに到達するまでの面倒さ(めんどうさ)」のこと。
ゲームを買うのが大変とか。
始める前の準備が大変とか。
ルールを覚えるのが大変とか。
そのゲームの面白さよりプレイコストのほうが上だと、ふつう人はやらない
ちょっとめんどうなゲームって遊ばれにくい。「ちょっとめんどう」な部分がなくせないか考えるといい。もしくは「ちょっとめんどう」が面白くならないか。

なので、ゲームの面白さの本質的なところは残した上で、プレイコストはなるべく下げていきたい
それを今日やっていきましょう。

画像2

■説明に最低限必要な4つのポイント

ゲームのルールを説明するときに最低限必要な4つを今から挙げます。それをマス目に書いてもらいます。
1の欄は構成。「コンポーネント、プレイ人数」を書いてみて

ーーコンポーネントってなんですか?

どんなカードが何枚あるか、とか。使うもののことです。それを書く。ぼくが作っている「走るメロス」でいうと、それぞれ1から6の数字が書かれた「走るメロス」「希望のメロス」「寝るメロス」「全裸のメロス」カード、合計24枚
自分がわかればオッケーです。カードを見せながらこう言えばわかるな、ぐらいのメモ。
で、プレイヤーは3人ぐらいかな、とか。

2の欄、勝利条件と最初の準備
勝利条件とは、どうなったら勝ちか。
ぼくのゲームだと、走るメロスカードを3枚集めると勝ち(←この段階ではカードを集めることが勝利条件でした。最終的にこれが変わっていきます)。
最初の準備は、ゲームを始めるときに何をするか。たとえば、各プレイヤーに7枚ずつ配って、山札から場に3枚オープンするとかね。

3マス目と4マス目には、どうプレイするかを書く。
走るメロスであれば、いま考えているのは、手札を同時に出して、オープンにした3枚を競る。オープンじゃないメロスのうち、数の多い順に1枚ずつ取っていく。これを3マス目に書いてます。

4マス目には、競りで出したカードが次のオープンカードになる。3枚集めると効果が発動。走るメロスが3枚で勝ち。希望のメロス、寝るメロス、全裸のメロスは、3枚集めると、人から一枚カードが取れる。みたいなことが書いてあります。

で、このシートに書いたことで、説明はすべて書き尽くしているぐらいにしてください。
実際に説明するときは、並べて見せたりとかやっていいんですけど、口にする内容としては、ここに書いたことがすべて。

現時点で、書ききれないぐらい細かいルールがたくさんある場合、ノイズが入りすぎてる可能性が高いです。
ひとまず自分の頭のなかを整理するつもりで、1ターン目、書いてみてくんろ。

で、実際にゲームを遊んでもらって、また書き直して、2ターン目、3ターン目、4ターン目ってできればいいなー。時間足りるかな。

■シート書き込み

画像3

だいたい書けた? 書けた人は、それを説明するときに、どうするとわかりやすくなるか、最短の手数になるかを考えてみてね。
このあと実際にやってみます。

■3人チームを作る

では、3人チームを作ってもらいます。最初に目が合った3人で、睨みあいながら接近してください。

タイマーで7分測ります。7分たったら次の人に交代です。プレイの途中であろうがなかろうが、次に行きます。

ゲームが終わらない可能性も高いからね、こんなゲームなんだっていうのをちゃんと説明できるかどうかに重点を置いてください。

で、実際やってみて、「ああ、この言い方だと理解してもらえないな」とか、「ここの説明めんどうだなー」っていうのが生じると思うので、それは心の中でチェックしてみてね。

テストプレイした側は、「こうしたほうがいいよ」とかアドバイスしなくていいです。まだね、その段階じゃないからね。

■説明のコツ

ーー説明して、遊んでみて、で、7分ですか?

そうね、先に言っておくと、ゲームを説明するときに、最初にわーっとぜんぶのルール説明をしても、聞く側は理解できません。
なので、可能ならばやりながら説明してください。
「7枚ずつ配って2枚出す」って説明するよりも、実際に7枚配ってみたほうがいい。その7枚は自分しか見ちゃいけないのか、2枚出すのは表なのか裏なのか、同時なのか順番なのかって、口頭だとどうしても抜けちゃう。やってみせたら、ああ、7枚は自分だけに見えるように持つんだな、とか、オープンで出すんだな、とか、わかる。
口頭より実際にやったほうが、めちゃめちゃ伝わるんで。

ただし、勝利条件は最初に言ったほうがいい。何のためにやってるんだろう? ってプレイヤーが思っちゃうからね。
「これを集めて、手札をなくすと勝ちですよ」ぐらいは、最初に言ってもいいかもね。

■説明の実践

では、7分×3人の1ターン目、行きます。スタート。

(7分経過)

1人目終了です。
説明途中で、「〜していいですか?」って質問されたりした?
そこは、説明不足だった可能性があるので、改善の余地があるかもしれません。プレイヤーが詰まったところがあったらメモしてみてね。

(同じように、2人目、3人目も終了)

■改善案を考える

では、メンバーチェンジして2ターン目に行きます。
今度は4分で回します。
その前に、メモを取って考える時間を3分くらいとります。

いまやってみて、ゲームが回らず矛盾した人は、どうすれば解消するかを考える
回った人は、説明が難しかったところや、誤解を与えたところの解消方法を考える
よーいスタート。

■説明の実践

では、2周目、今度はさっきよりも短いので早く終わります。1人4分間で説明してプレイできるところまでやってみてください。

(4分×3人が終了)

はい終了でーーーす。まだ途中だと思いますが終了でございますーーーー。

■改善案を考える

また、改善点をメモしてみましょう。
各自2分ぐらい。

はいはいはい、アドバイスしなーい。この時点でアドバイスしたらろくなことにならなーい。アドバイスって強力だから作る側がそこに引きずられちゃうんだよね。
他の人の意見を聞かなくても、やってみて、あ、ここがダメだなっていうのは、まだ分かる段階だと思うので。言わなくてもだいじょうぶ。

ここから先は

1,874字 / 2画像

¥ 400

サポートいただいたら、記事に還元できることに使います。表現道場マガジンをよろしく! また、記事単体で購入できますが、月額800円「表現道場マガジン」がお得です。