銀行(創作漫才) 


A:銀行ってコントや漫才でよくネタにされますよね。

B:銀行強盗のネタは定番ですね。

A:その銀行のネタが絶滅の危機です。

B:絶滅の危機?そうなんですか?

A:店舗がない銀行が増えたし、現金のやり取りもだんだん減ってきて、大金があまり置いてない。

B:それはネタじゃなくて、実際の銀行の話ですか?

A:今はネタでも現実とかけ離れすぎてると色々言われますから、なるべく現実に沿ってネタを作らないといけないんです。

B:現実にはあり得ないっていうネタもいっぱいあると思いますけど。

A:結婚したいんですよ〜っていうネタをやったら、この人結婚したいんだ〜っていう目で見るじゃないですか。

B:誰ですか、そんな目で見てるのは。そんな人がいるから相方が苦しんでるじゃないですか。

A:見るなー。

B:落ち着いて。漫才だから、見てもらえないのは困るでしょ。

A:確かに。相方は正しいことを言うね。

B:正しいことかどうかは分かりませんけどね。

A:これからも、正しいことを言い続けてください。

B:あ〜、はい。

A:では、銀行強盗のネタはじめまーす。

B:そんなこと宣言しないでください。

A:はじめますって言わないと、本当の銀行強盗だと思われるかもしれないじゃないですか。

B:大丈夫ですよ、漫才見たことある人なら分かりますって。

A:結婚したいってネタをやった時に、結婚したいんだーって思うような人たちもいるんですよ。言わなきゃ分からないと思って。

B:そういう人もいるかもしれませんけど、分かる人もいますって。

A:仮にですよ、仮に漫才が分かる人ばっかりだったとしましょう。

B:ええ。

A:それはそれでやりにくいんですよ。

B:何でですか?

A:今まであった銀行強盗のネタを思い出すわけですよ。

B:まぁ、多少はよぎるかもしれないですね。

A:ある程度のパターンが決まってますよね。

B:決まってはないと思いますけどね。

A:大体、強盗の方がおかしいか、銀行員がおかしいかのどっちかでしょ。

B:決めつけがひどいな。

A:そのパターンでどう展開するんだって、お客さんも思ってるわけでしょ。

B:え?お客さん、そんな目で見てたんですか?

A:でも、昔だと笑いになってたことが笑いにならないこともある。

B:例えば?

A:小さいカバン持ってきて、これに詰めれるだけお金詰めろっていうやつ。

B:それは、銀行強盗のネタを初めてやった人ですか?

A:入らないから笑いになってた。

B:まぁまぁ、そんなネタもあったかもしれませんね。

A:今は電子マネーとかあるから小さいカバンでも入るってお客さん思うでしょ。なんならスマホさえあればカバンもいらないってお客さん思うでしょ。

B:いやそれはそれで笑いにできるよ。というか、お客さんの想像力!

A:それくらいの想像力はみんな持ってるって。強盗だ、金を出せ、って入ってきたら、強盗だ、って宣言して入ってくる人いないわってつっこみできますからね全員。

B:え、そうだったの?全員?すごい!漫才かコントの経験者ですか?

A:そりゃそうですよ。あれは漫才じゃないとか、あのコントの設定意味不明とか、どう見てもやってる側の意見ですよ。

B:それ、ネットに書かれてるやつ!

A:え?プロの意見かと思ってた!じゃ気にすることないか!

B:誰が言ってんだ、で流していいよ。スポーツとか、将棋とか他のプロにはアドバイスとかしないのに、お笑いにはアドバイスできるって思ってるんだよ。

A:自分の仕事の専門外の人にアドバイスされた時の気持ちをまだ知らないのかもしれないね。

B:暖かい目で見ましょう。

A:そうします。ありがとうございました。

B:銀行強盗のネタは結局やらないんですね。

A:後はお客さんの想像力に任せます。

B:えー。



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