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タンゴ四重奏MV/アストル・ピアソラ「レビラード」

アストル・ピアソラ生誕100年を記念して新しいタンゴ四重奏でミュージックビデオ「レビラード」を制作しました。
「Revirado=ねじれた」というタイトル通り、ユーモラスでトリッキーな雰囲気の作品です。気難しそうだけど、悪戯好きで陽気な一面もあったピアソラ自身の性格を表しているようにも感じます。

≪演奏≫
星野俊路(バンドネオン) 松本尚子(バイオリン)
後藤雅史(コントラバス) 米阪隆広(ギター)
録音/大輪真三(echizen studio)
録音場所/スタジオ ユー(吹田市)
動画編集/米阪隆広
撮影場所/カフェプレリュード(大阪市)

音楽家たちの出会うタンゴの交差点

昨年秋に結成されたこの四重奏団ですが、MV公開と同時にようやく正式名称がタンゴ・クルサード TANGO CRUZADOに決まりました。
「交差したタンゴ」と訳せますが、これは別々の道をそれぞれ歩んでいた奏者たちの人生が交差して結成された楽団というイメージです。
そもそもアルゼンチンタンゴ自体が、様々なルーツを持つヨーロッパ系移民たちの音楽や文化が交差し、形作られていった音楽。
そのことも念頭に置きながら、自分たちの拠点とする関西で「音楽家たちの出会うタンゴの交差点」を作っていきたいという想いから命名しました。

母体になっているのはバンドネオン&ギターDuo「タンゴ・グレリオ」ですが、そこに自分たちとは異なる音楽的ルーツを持つ、コントラバスの後藤雅史、バイオリンの松本尚子が入ることで、デュオにはなかった新しい世界やアイデアが生まれてきます。

「タンゴ交差点」から自分たちは果たしてどこに向かっていくのか……楽しみながら活動していきたいと思います。

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ミュージックビデオの制作方法について

昨年秋には文化庁の「文化芸術活動継続支援事業」の支援金を一部使用させていただき、2本のMVを制作しました。

この2本のMVはカメラマンの大森秀明氏に依頼し、築100年を超える旧武藤邸を舞台に映画風の作品として制作しました。

今回は予算が前回ほどなかったこともあって(笑)、編集は私自身が行ったため手作り感のある作品となっています。(とはいえ音質には力を入れたいので、音源制作は引き続き吹田市スタジオユーに依頼しました)

撮影機材は自前のものを使用しています。
SONYのミラーレス一眼α6300、ビデオカメラFDR-AX45をメインに、Panasonicの広角レンズビデオカメラも一部使用しています。

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撮影場所は何度か店内でのコンサートに出演したことのある、大阪関目のカフェプレリュードを使わせていただきました。
お店の雰囲気がいいのももちろんですが、スポットライトなどの照明がそろっている点が撮影にはうってつけでした。
ライティングによって撮影した映像の良し悪しが大きく変わります。
いくら4K撮影のできるカメラで撮影しても、元の映像が暗いと編集で色味を調整するのが難しくなります。

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昨年のMVと異なり、今回は自分たちで撮影と演奏を両方こなしながらのため、あまり凝った映像にはできません。
一眼カメラは基本三脚で据え置き、ビデオカメラで各奏者をねらって少し動きのある映像を撮影するという作業を何度かに分けて行いました。
全部で12のアングルから撮影し、所用時間は約2時間半。
撮影アングルを決めるのに一番時間がかかりました。

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編集は無料ソフトのDavinci Resolveを使用しました。
無料とはいえAdobeのPremire Proに匹敵するほど高機能で、正直まだ全然使いこなせていません(汗)

複雑な編集はまだできませんが、音楽の流れが映像とシンクロし、自分たちの演奏が伝えたいことを映像からもイメージしてもらえるように編集しました。
前半と終盤は映像の切り替えを素早くし、中盤は少しゆったりとした印象になるように調整しています。
軽快な曲調に合わせてカット割りを細かくしたので、次第にソフトの動作が重くなって後半は苦労しました。
やはり動画編集向きのパソコンもいずれ欲しいですね。

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前編を真面目な作りに仕上げてもよかったんですが、「レビラード(ねじれた)」というタイトルにちなんで、今回のMVにもちょっとした「ねじれ」を入れてみました。悪戯好きのピアソラにならって、私たちもちょっとしたジョークとしてこんなカットも紛れ込ませています。

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昨年はYouTube動画を中心とした活動が必然的に増えましたが、ありがたいことに動画を見てライブにお越しいただいたり、演奏のご依頼をいただくケースがかなり多くなってきました。
動画やライブ配信がコロナ禍で演奏活動ができないための代替手段ではなく、多くの皆さんに自分たちの活動やタンゴという音楽について知ってもらえる、よりポジティブな表現手段になりつつあることを感じます。

これからも自分たちの撮影や編集のスキルを磨き、必要に応じて外注するなどして映像コンテンツを増やしていくことがますます重要になりそうですね。



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