シェア
『神様のすること』 平安寿子 幻冬舎 老母の介護にまつわるエッセイだが、中途、脇道にそれた…
『不思議旅行』 水木しげる 中央公論社 最終章の「死について」で、やたらしんみりしてしまっ…
『唯脳論』 養老孟司 ちくま文庫 かなり前の著作で(25年前)、「養老孟司『唯脳論』批判」で…
『修羅維新牢』 山田風太郎 ちくま文庫 どうしても見たかった写真展の開催最終日、仕事が延び…
『室町小説集』 花田清輝 講談社 なんだろうこれは。 読みながら呻いていたことは覚えている…
『行人』 夏目漱石 新潮文庫 大正初年の小説とは到底思えないなぁ。 読んで、僕はなぜか大き…
本はいつでも何度でも自由に読めるのがいいよね、っていうのは嘘だ。 川上弘美『神様』(中公文庫)を読みながら考える。 この本に所収の『夏休み』や『花野』や『星の光は昔の光』あたりの短編は、何度も繰り返し読むべき話ではなく、一番最初の、頭がサラッピンの状態でその文字列を踏んでいかねば味わえない、地雷のような快楽に満ちている。 踏み損ねたら次はない。読みながらそういう緊張を強いられる。 一文字、ひとセンテンスを、カギカッコの中のセリフ一つを、読みのがしてなるものかという緊張感。
本当にあたらしいことというのは、古いこととのつながりが切れているので、あたらしいのかどう…
解説に書いてあった「外面描写の鬼」という言葉がいい。 徹底的に「外から」描写される死のさ…
「史実の隙間を情緒で埋めない」歴史小説家・吉村昭の、とても珍しい小説を読んだ。『虹の翼』…
『風歩』 森山 風歩 出版社:講談社 クレジットを見なくてもわかる、表紙写真 by アラーキー…
『らも 中島らもと三十五年』 中島 美代子 出版社:集英社 中島美代子は中島らもの奥さんで…
『夕べの雲』 庄野 潤三 出版社:講談社 読んだことなかったから買ってみた。 ある意味衝撃だ…
『ヘヴン』 川上未映子 出版社:講談社 川上未映子『ヘヴン』(講談社)読む。 百瀬の語るいじめる側の論理と、コジマの語るいじめられる側の論理。それらが交わるはずもなく、つまりは「関係ないんだよ」の百瀬が言い負かす形で、物語は最後の破綻へと向かう。 いじめる側の中学生が百瀬のような怜悧な自己分析をできるわけもなく、実際には善悪とは何かという川上未映子の考察を代弁させる形で百瀬は存在し、この議論がこの小説の核となるわけだが、この核の部分に抜き去られて結局は打ち負かされるコジマの