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母と暮らす

 新年度が怒涛。というよりも年度末が怒涛でその通り過ぎた風力がまだあおっているというのが正解かもしれない。

 詳細は割愛するが、急遽母親と暮らすことになった。介護とかではなくまだぜんぜん元気。しかもこれが非常に私にとっては僥倖ともいえることだったのだ。

 まず、母のことが大好きであるということ。さらに、実はここしばらくの間、かなり生活が荒れてしまっていてひとりで暮らす限界を感じていた。
 自分のためにはがんばれないから、仕事に全精力を集中していると生活を整えたり健やかに保とうという余力がまったく持てず、しかもそれが自分のためとなればどうにでもいくらでも、堕落できる人間なのであった。プラスしておそらくは更年期になりかけているのか、気力や意欲が著しく低下してしまい、かつてであればどんなに苦手できらいなことであっても「シゴトのうちだから」と呪文をつぶやけば直ちに体を動かすことができた。それももう、どんなに気力をふりしぼってもかなわなくなってきていた。

 そんな折しも、先週の土曜日から母と2人暮らしが始まった。

 うれしくて楽しくて、仕事が終わると駆け足で帰ってしまう。自分がこんなに母が好きだったなんて驚くばかりである。いつも母を笑わせたい、幸せにしたい、と思ってきたが、一緒に暮らすようになってさらに高まっている。けれど楽しい理由で母は転居してきたのでもないので、心と体の安寧をもてるようにしてあげたいし、ゆっくりと傷をいやしてほしいと願っている。

 母につきあって早く寝るので毎日めちゃくちゃ健康的に規則正しく生活するようになった。食事はおいしい母の手作りが味わえるうえ、日付が変わらないうちに就寝し、早起きができている。

 きっかけは母の理由であったが、まちがいなく私の行き止まりに訪れたプレゼントのような同居だ。私は母の介護が必要になったら全力でお世話するつもりだけど、それまでの間にうんと楽しく幸せに過ごしてもらうことに全力を賭けたいと思っている。

 母を幸せにする。このことがいまの私の目標だ。

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