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食べかけを渡す上司

アニソンシンガー・LiSAが、まさかの紅白2年連続出場。



"魔法科高校の劣等生"の頃から見ていた私としては、
昨年末に一度、紅白に出場できたことがきっと、
彼女の人生にとって、"大きな記念"になるだろうと思っていました。



しかし、今年に入り、世間は空前の"鬼滅の刃"大ブームに沸き、
コロナ禍においても、映画は何と、歴代1位の興行収入を記録。



自身の楽曲「紅蓮華」「炎」は、今年のオリコン年間ランキングで、
堂々のワンツーフィニッシュを決めるという、凄まじい快挙。



かつて、"話題のアニソンシンガー"として、蒼井エイルとセットで、
Mステに初めて出演した時から、はや5年半。



今やもう、すっかり音楽業界の中心に躍り出てしまった彼女。



時代の流れの早さを感じずにいられない、今日この頃です。







日本の年末を賑わせる存在は、それだけではありません。





今年の「RIZIN.26」には、2000年代の格闘技界を大いに沸かせた、
ミノワマン、所英男という、2大スターが久々の参戦。


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PRIDE、HERO'Sでそれぞれ、一躍その名を世に知らしめた後、
DREAMでは、トーナメントで優勝経験もある2人。


会場人気が非常に高く、試合をすればハズレ無し。



超個性派な2人の存在を、格闘ファン達も忘れてはいないことでしょう。








日本の年納めに、お茶の間を沸かせる、3人のスター達。



実は、彼らにはある共通点があるのです。





それは、3人とも"岐阜県出身"であるという点です。




個人的に、いつか行ってみたい県と言えば、岐阜県でした。



山々に囲まれた、自然豊かな地域でありながら、
陶磁器や刀剣の製造、金属加工などが盛んな、職人の街。



そんな魅力あふれる地、岐阜県にはかつて、
もう一人、私にとっての偉大なスターがいました。








2011年1月、大学4年の卒業2か月前。




就職氷河期の煽りを受け、卒業間近にも関わらず、
まだ、自身1社目の企業で、面接を受けている最中のことでした。




たまたま、その時録画してあった"カンブリア宮殿"を見て、
当時、まだ社会に出る直前だった頃の私は衝撃を受けました。



その回で取り上げられた、岐阜県の電気設備機器メーカーで、
今や"日本一のホワイト企業"との呼び声も高い、「未来工業」。




創業者の、山田 昭男 社長(当時)による独自の経営論に基づき、
"日本一社員が働きやすい会社"が、いかにして築かれたのか。





年間休日140日、就業時間は7時間15分。


残業禁止、"報連相"禁止。


営業ノルマも、成果主義も、一切なし。


売上高は300億円超、経常利益率は10%以上、創業以来赤字なし。


社是は、"常に考える"。





その圧巻の内容に、社会を知らない私でさえ、度肝を抜かれました。







あれから、早いもので10年。



山田社長は、2014年7月に82歳で亡くなりましたが、
そのイズムは今もなお、社員達の中に息づいています。



※ 人事のなべはる さんが書かれた、
 「日本一ホワイトな会社『未来工業』の会社見学に行ってきました」
 という記事が、大変参考になる内容でしたので、
 現場の様子が気になる方は、是非お読みになってみて下さい。




つい昨日、近所の書店に立ち寄った際、
目の前にあった棚に、山田社長の著書を見つけ、
つい懐かしさのあまり、購入してしまいました。




「毎日4時45分に帰る人がやっているつまらない『常識』59の捨て方」




社員の勤務時間とは裏腹に、長いタイトルですね(笑)。




しかし、読んでみると、やはりスラスラと読めてしまい、
若い頃は劇団を主催していたという、彼の表現力の高さに、
すっかり惹き込まれてしまうような内容でした。



詳細については、是非お読み頂けたらと思いますが、
印象に残った点を、いくつか記載していきます。







①上司は管理職ではなく、"奉仕職"



本著で、何度となく否定されている「管理業務」。



上司に求められるのは、部下を管理することではなく、
部下の不満を解消し、モチベーションを後押しすること。


"報連相"を禁止している未来工業では(笑)、
分からないことは、上司から部下に聞きに行けという社風。


社会に五万とある、役職者が偉そうにしている会社が、
世界はおろか、国内でさえ競争力を発揮できない現状を、
いちはやく察知し、独自の経営手法を実践した山田社長。



日本企業に必要なのは、その柔軟性かもしれません。






②雑談の大切さ



何年か前、雑談力について書かれた書籍を読みましたが、
そこには、雑談のスキルばかりが記載されており、
"なぜ雑談が大切なのか"というメッセージが、
読んでて伝わってこなかった印象を受けました。


しかし、本著ではその"雑談の大切さ"が、
実際の事例を交えて、詳しく書かれていました。


褒めるでも叱るでもなく、雑談の中でそれとなく伝える。


社内でも、社外でも、雑談を大事にすることで、
社員や取引先から意識され、必要とされる存在になる。


新規案件を抱えている部下の、不安やプレッシャーを、
自身の失敗や経験なども交えた雑談で和らげる。


部下の失敗は、2つのパターンに分けて考える。


(1)自身のミスによる失敗は、本人が一番反省している為、
それ以上、くどくどと叱りつけることはしない。

(2)本人の力ではどうにもできない失敗や悩みには、
いち早く話を聞き、問題解決に向けた策を考える。



雑談には、報連相にない"暖かな手触り"がある。



こうした内容から、雑談の奥深さと、その効用について、
今一度、考えさせられたなという感想です。






③仕事は「丸投げ」が基本



仕事に必要なことは"当事者意識"。


任せる時は、最初から「丸投げ」で渡すこと。


上司はあくまでも、その"サポート役"に徹する。


最初から自分が携わることで、本人に当事者意識が生まれ、
仕事に対するやりがいや責任を持つことにつながる。


上司が、少し手を付けてから渡された仕事は、
"食べかけのお皿"を渡されたような気分になり(笑)、
渡される側(部下)のモチベーションを低下させてしまう。




自分もかつて、仕事をほとんど丸投げされ続けましたが(笑)
あそこで足りなかったのは、上司からの"サポート"でした。



全部任せて、必要に応じてサポートする。



一歩引いた、それとない上司の存在感というものが、
"我が我が"の管理職には(笑)、なかなか難しいのかもしれません。









他にも、参考になる点は数多くあり、挙げればキリがないですが、
是非、ご興味のある方は、お手に取って頂ければと思います。




日本一のホワイト企業、未来工業。



激動の時代において、その存在が、
他社にとって、経営改善のベンチマークとされる必要性が、
より高まってきたように感じてなりません。



山田社長のイズムを引き継ぐべきは、未来工業の社員だけでなく、
これから先の時代を見据える人々ではないでしょうか。






右へ習えの大都市企業には生まれない、新しい発想。



ますます、岐阜県に行ってみたくなりますね(笑)。



働き方の新しい可能性を模索しつつ、ひとまずこの年末は、
岐阜発のスター達による晴れ舞台を、存分に楽しみたいと思います。

その100円玉が、誰かの生きがいになります!