朝を思い起こして

人々の生活がはじまってゆく。わたしを除いて。

残念ながらわたしは人々に含まれないみたい。雑踏の、その靴音たちに私の歩みはない。

満員の通勤電車、あなたたちはさながら戦士のような眼差しで、何かと戦っている。

足を踏まれたり肩がぶつかったり、そんな些細なつらいことが遠く、遠くのことのよう。

お昼時の穏やかな日射しを浴びて、すこし虚ろな眼で揺られている、かたちのない影が、わたしです。

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