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0歳からの教育・体験の機会の平等を達成するための一つの方法

 「乳児の時点でおよそ4割が取り残されてしまう」

 この現状をご存知でしょうか?
 何から取り残されてしまうのかというと、「教育・体験の機会」です。
 具体的に言うと、「ブックスタート」という、乳児期の絵本の配布です。

 ブックスタートは、子どもが本に接するはじめのきっかけにもなります。そして、「ブックスタート・パックを受けた親子の方が本に慣れ親しんでおり、本への意識の高まりや親子の本の時間が長く持たれることなどが報告されました。子どもの思考力、好奇心を育て、本を読む喜びや楽しみを介して親子の関係や家庭環境を良い方向へと変えていくなどの効果があった」とのことです(上記リンク記載)。

 そのブックススタートは、板橋区でも区の施策として行われています。

 平成14年4月より、4か月健診時での絵本の配布を行う「ブックスタート事業」が開始されました。
 その後、平成26年6月より、図書館での受け取りに変更となりました。乳児検診での絵本の配布は行わず、代わりに母子手帳を持参し、図書館に行くと絵本がもらえるというシステムになっていますが、図書館での引き換え率は、令和3年度においては56.5%で、40%以上の乳児とその親が、絵本を受け取る事ができていません。

 参考として4ヶ月乳児検診の受診率は、最新の統計である令和3年度は93.3%にも及びます。保健所での乳児検診で絵本の配布をしていた場合、全体の93.3%が受けとることが可能となります。
 乳児健診受診者とブックスタート受け取りの人数の差は、およそ1,440人にものぼります。 

 コロナ禍だから図書館に行く人が少なくなったのでは、との意見もあるかと思います。コロナ禍前の平成29年度は、乳児検診で配布していたとすると、図書館で受け取れなかった25%の子ども達が、健診時に絵本を受けとることができた計算となりました。25%を人数に直すと、1166人です。やはり新型コロナウイルスが蔓延する前の方が受け取っていない親子が少ないですが、新型コロナウイルスを理由とせずとも、1000人以上が受け取っていない計算です。

 引き換えられない理由として、図書館までの距離や、仕事を持つ保護者が行く時間がないなどが挙げられます。引き換えの制度により、図書館への来館の促進という目的があると中央図書館よりお聞きしましたが、ブックスタートの目的は「早い段階から家庭での読み聞かせにつなげる(板橋区子ども読書活動推進計画 2025)」ことであり、引き換え制度により、乳児期の早い段階での家庭での読み聞かせが行われていない現状があるのではないでしょうか。

 母子手帳を持って図書館に来館することにより、4か月健診より早い時期に赤ちゃんは図書に触れることができますが、制度により機会を失っている割合が多いのではと感じました。図書館に行く、もしくは図書館に来てもらうという目的が手段化することにより、読書の機会に触れることができない子ども達が存在しております。                   
  
 以上のことを鑑みて、0歳児からの教育・体験の機会の平等を達成するよりよい方法として、現在の引き換え制度から、4か月健診での絵本の直接配布に移行することが必要と考えます。

 「絵本のまち板橋」を掲げる板橋区。ぜひとも、小さい頃から絵本に接する事ができる、よりよい施策を期待します。

ブックスタート/板橋区立赤塚図書館


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