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「性と気候変動は繋がっている」生理をタブー視する環境で育ったKyokoさんに起きた雪崩。地球にも自分にも優しい選択、できていますか?

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「セクシャルウェルネス」「性教育」「気候変動」の三つのテーマを軸にSNSなどで発信を行う kyoko_ordinaryさん。Kyokoさんが活動を始めたきっかけとは?なぜエシカルコンドームの発信活動を行っているのか?

写真=Kyokoさん、本人提供

「性と気候変動は繋がっている」

セクシャルウェルネス、性教育、気候変動の三つのテーマを軸に活動する大学生がいる。インスタグラムツイッターで「kyoko_ordinary」として知られている、Kyokoさんだ。

(2022年7月23日時点)フォロワー数が3600人を超えるインスタグラムでは、おすすめのエシカルコンドームのリール動画や投稿が紹介されている。韓国で人気を集めるコンドーム「SAIB(セイブ)」の紹介動画は530万回以上再生された。

現在はエシカルコンドーム・Ethicondom(読み:エシコンドーム)の発足者、メンバーとして、日本におけるセクシャルウェルネスの底上げを狙う。活動の背景やエシカルコンドームへの思いを聞いた。

「生理用品が欲しい」が言えない

積極的に性教育やセクシャルウェルネスについての情報を自身のSNSで発信するKyokoさんだが、その背景には生理で悩んだ経験がある。

性・生理をタブー視する環境で育ち、家族とも生理について話すことが難しい思春期を過ごした。Kyokoさん自身も元々は性・生理をタブー視しており、「生理用品を買いに行きたい」と口に出すことができなかったと言う。

価値観が変わった大きなきっかけは大学への入学だ。大学入学後、イギリスの小学校に通っていた友達ができ、その友人がセックスや生理に対してオープンに話す姿に衝撃を覚えた。

「(友達は)大学の共同スペースでコンドームを出すことを躊躇わない子でした。高校まで保守的な環境で育っていた私は最初驚いて『えっ!?!?』となって(笑)。私が通っていた高校にも性教育はあったものの表面的でしたし、恋愛を楽しめるような雰囲気もなかったです。コンドームは見たことすらなかったですし、その言葉を使うこと自体にも抵抗がありました」。

友人からイギリスでは小学校でバナナを使って性教育の授業を受けること、性暴力に関する動画を警察が作っていることを聞いた。

「私が受けてきたものとは異なる性教育の価値観に触れて、『コンドームは女の子でも買っていいのか!』みたいな...雪崩が起きた感じでした(笑)」。

写真=Kyokoさん、本人提供

また大学で九州から上京し、一人暮らしを始めたことがきっかけで “自由”になり、様々な方法で生理と向き合い始めたことも大きい。

吸水ショーツ、低容量ピル、月経カップ、ミレーナ。生理用ナプキン以外の生理用品も試した。

商品によってはPMSの症状や血量の変化を体感することができて、生理との向き合い方を見直し始めた。この経験は、後にKyokoさんの活動軸になる「セクシャルウェルネス」と向き合う上での大きな分岐点となった。

「毎月来る生理痛や過多月経量を『自分の個性』『これはこういうものだ』『当たり前』などと片付けずに、自分の生理を大切にすること。セクシャルパートナーや恋人と生理について話せる環境を作ることが、セクシャルウェルネスに繋がると思います」。

セクシャルウェルネスの定義:セクシュアリティに対して身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態であること。

最初のきっかけは「ストローって必要?」

性に関する雪崩が起きた一方で、Kyokoさんは気候変動と環境問題への問題意識も持つようになっていた。

小学生の頃から自然や環境問題に対して興味関心を持っていたが、大学一年生の時に、アルバイトとして働いていた飲食店である光景を目にする。

お客さんたちはお店から提供された紙ストローを使うが、ストローは次第に水分を含みフニャフニャになる。そうすると、また新しいストローをもらいにくる。

「そもそも、なんで人間はストローを使う必要があるのだろうか?」という疑問を抱くようになった。答えが気になり、自身のインスタグラムで回答を募ると、色々な意見が出た。

「口紅をカップにつけたくない」
「(スターバックスで売っている)フラペチーノは混ぜて飲まないと美味しくないからストロー必須」
「病気で口の周りの筋肉が動きにくいのでストローが必要」

ストローへの疑問をきっかけに、環境問題や気候変動について調べていくようになった。人間社会がプラスチックに依存し環境破壊に繋がっていることを強く感じ、疑問は次第に「気候変動は全ての『土台』」という考えに行き着いた。

「私たちが、人間としての営みを行う上でどの業界のどの分野でも地球は必須です。地球で起きていることから目を背けずに、地球からのSOSを聞くことが大事です」。

また、気候変動とジェンダーや貧困問題などの社会問題は非常に近い関係にあるとも訴える。地震や台風などの災害が起きた際に、影響を受けやすいとされているのは子どもや女性など、社会的に立場が弱い人たちだ(参考)。マクロ的に見れば、気候変動により受ける影響は先進国よりも開発途上国の方が大きい(参考)。

どうしてエシカルコンドームなの?

写真=ポップアップイベントの様子。本人提供

性にも気候変動にも関心を寄せるKyokoさんは、なぜエシカルコンドームの発信活動を行っているのだろうか?

インスタグラムでセクシャルウェルネスや性教育の発信を始めるようになり、コンドームやセクシャルウェルネスに精通している人と繋がる機会が増えた。一方で、気候変動や環境問題に関する問題意識を持っている人は少なかったと話す。

生理用ナプキンの使い方を発信していても、ナプキンの成分には熱さまシートと同じ成分(高分子吸収ポリマー)が入っている事実や、その成分が地球や体にもたらす影響にまで言及しないーー。

「なんで言及しないんだろうという個人的なモヤモヤをセクシャルウェルネスに繋げたいと思いました。性と環境問題が繋がったら最強じゃん、とも思いました。リサーチを進め『サステナブルコンドーム』というタイトルでインスタ投稿を更新したところ、同じ思いを持つ2人から連絡を受け、Ethicondomの活動が始まりました」。

2022年4月頭には、世界保健デーを祝福するコンドームポップアップを、Ethicondomのチームメンバーと共に開催した。エシカルなコンドームがない日本において国内外のコンドームの幅広い選択肢を知ってもらうことを目的に、国内外7カ国から13種類のエシカル・サステナブルなコンドームを楽しめるように展示を工夫した。来場者は120人を超え、イベント後のアンケートでは、9割が「コンドームに対するイメージが変化した」という好評ぶりだった(イベントレポート詳細)。

地球にも自分にも優しい選択肢を増やすために日々精進していくKyokoさん、Ethicandomの活動にこれからも目が離せない。
もっと知りたい人はこちら

写真=ポップアップイベントの様子。本人提供

執筆者:原野百々恵/Momoe Harano
編集者:三井滉大/Kodai Mitsui、清水和華子/Wakako Shimizu

インタビューを受けてくれた方:Kyokoさん。性教育、セクシャルウェルネス、気候変動の三つのテーマを軸に活動する大学生。現在はEthicondomで次回ポップアップや新プロジェクトを構想中。インスタグラム: kyoko_ordinary、Twitter:kyoko_ordinary


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